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2010年10月19日

2010年10月19日 (火)

歴史の転換:女流プロ棋士コンピュータに負ける

2010/10/19

歴史の転換:女流プロ棋士コンピュータに負ける

コンピュータとチェスの名人での対局でコンピュータが勝利したニュースは過去のものとなっている。今回は清水市代女流王将とコンピュータの対局で話題になった。情報処理学会は1960年4月22日に創立され、2010年には創立50周年を迎え、これを記念してこの対局が企画されたようだ。情報処理学会のホームページはその対局の速報を以下のように伝えた。

『清水市代女流王将vs.あから2010速報 平成22年10月11日の対局では、あから2010は無事終局まで指し続け、86手で清水女流王将が投了、あからの勝ちとなりました。新聞社やTV局など多数のメディアの注目を集め、立ち見がでるほどの解説会場も大いに盛り上がりました。インターネットでも多くの方々がこの対局を観戦して下さり、対戦結果は日本国内のみならず世界中に報道され、情報処理学会による情報処理技術の進歩の一端を示すことができ、50周年記念イベントとしての対局を成功裏に終えることができました。
 一回限りの勝負事ではどのような結果もあり得たところですが、今回の対局では情報処理学会の期待通りのあから2010の棋力を棋譜に残すことができたと自負しております。また、この対局を通じてプロ棋士の将棋に対する姿勢など、多くの新しい発見や感動を得られたことも大きな収穫でした。
 今回の成功は、35有余年に及ぶコンピュータ将棋開発の積み重ねとともに、広くゲーム情報学、機械学習、並列分散処理技術といった情報処理学会が長年培ってきた技術力を基礎にして得られたものです。
 コンピュータ将棋はプロ棋士の棋譜や思考といった先人の叡智に学び、ここまで進化を遂げることができました。これからも、単なる人間と冷徹な機械の戦いの場としてではなく、お互いの能力を尊重し高め合うための道標として、驕ることなくさらに研鑽を積んで参りたいと存じます。情報処理学会は、今後も様々な分野で研究開発を進め、人類に貢献していきたいと考えております。
 最後になりますが、今回の挑戦を受けていただいた日本将棋連盟、素晴らしい熱戦で応じて下さった清水市代女流王将、そして会場と計算機を提供して下さった東京大学大学院情報理工学系研究科に改めて感謝いたします。』

コンピュータの進歩にはめざましいものがある。コンピュータが人間の能力にどこまで迫れるかがコンピュータを使って行く上でも大きな研究課題であるためであろう。あから2010は、一般社団法人情報処理学会の「トッププロ棋士に勝つ将棋プロジェクト」によって開発された特製システムで、そのネーミングは、10の224乗を表わす阿伽羅(あから)が、将棋の局面数に近いことにちなんで命名されたとの事である。膨大な規模の情報処理が人間の頭脳の中で行われている事を思い起こさせる。

将棋もルールがはっきりしているのでこのような勝ち負けを決める対局という企画が成立すると思うが、俳句、和歌等をつくらせたとき、コンピュータのアウトプット結果がどのようなものであり、どのように評価すべきか。ここには、ルールも評価基準も無いのですべて人間が与える事になるのか。コンピュータはまだファジーな問題を自ら作り自ら解を探してくれるというような用途には向かないようだ。一般の人がパソコンを使える頃になっても、コンピュータに問題を出せば解いてくれるのかいと質問を受けた事があった。ファジーな問題をファジーの入力でコンピュータに解かせるのは今でも難しそうだ。自分も、自分のパソコンに今お前のどこの調子が悪いか自己診断して回答せよという問題を出したい時が度々ある。

ともかく、今回のコンピュータ側は、多数のコンピュータ部隊を親分のコンピュータが指揮をして各コンピュータが選んだ手を多数決でコンピュータ連合の手として決めてプロ棋士と対戦したようだ。各コンピュータはそれぞれ将棋ソフトを実行している。こういうシステムにすることによりいくつかのコンピュータの欠点を補い総合的に利点を拡大できたようだ。かつて見たインターネットのどこかのサイトに俳句を自動作成するものがあって、面白い結果を出していた記憶がある。ともかく将棋の局面数が10の224乗に尽きるとすると、全ての勝負決着の筋道もその中にあると言うことで、各コンピュータが選んだ手を解析してみて、棋士の思考過程まで解析できるのか興味がある。コンピュータが選んだ手は完全にホワイトボックスで、棋士の思考過程はブラックボックスの中にある筈だ。

思うに、一般的な人間レベルの能力をコンピュータに獲得させるためには相当量のコンピュータのトレーニングが必要なようだ。そのトレーニング期間もトレーニングコストも人間以上にかかりそうだ。やはり、コンピュータは得意な分野で使うべきなのかもしれない。今回のコンピュータは並列分散処理という事で一面では、コンピュータのハードとソフトを作った人々、それらを統括する多数の人々の総力と一棋士の対戦という見方も出来る。多数の人々の知的産物と一人の個人の対決では個人の勝ち目は極少ないのではないか。そういう蓄積された多数の人間能力を短い時間に集中させるのがコンピュータシステムであるとすれば一人の棋士としては善戦しているのではないか。もはや、筋力と言う点では機械と人間を比較する時代は終わっている。コンピュータと人間を比較する時代も程なく終焉するかもしれない。

情報処理学会によれば、合計208台, 658 coresのコンピュータが連結して棋士と対局したとの事である。これを一台のコンピュータとしてみた場合、どの位の能力になるのだろうか。

大雑把な計算では全体で10の12乗(1兆)個程度のトランジスタが使われているようだ。ちょっと調べたら、人体は約60兆の細胞で形成されているようだ。

INTEL CPUの概要を調べた。

Die Size of the Quad-Core Models

  Model    Process            Size          Transistors
Core i7        45 nm    263 mm2            731 M

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  • 山科正平: 12_細胞を読む   電子顕微鏡で見る生命の姿
    細胞はどんな部品からできているのか。そんな疑問に答えてくれる一冊。何事も形を見るのが第一歩。μからÅオーダーの世界で、細胞をメスで解剖するように、電子顕微鏡というメスで解剖して見せてくれるので興味が尽きない。
  • 柳田充弘: 11_細胞から生命が見える
    著者の専門は分子生物学、細胞生物学。普段生物を考えても細胞レベルで止まってしまう。その細胞の中で色々な分子が働いている。細胞こそ生命の基礎だが、その細胞の中の動きを知るのに最適な一冊。疑問の発端はなぜ発根剤が効くのかということ。薬剤が細胞膜を通過して細胞内で分子と分子が作用するイメージができた。本書でできた細胞のイメージは小さな無数の穴が空いた水分が充満したヨーヨーのようなもの。そのヨーヨーの中に分子部品が詰まっている。細胞自体もタライの中のヨーヨーのように浮かんでいる。細胞図面の空白部は真空でなく水分だ。細胞の内外に水がないと細胞は生きられない。水が生命のゆりかごだ!
  • 野口悠紀雄: 10_ホームページにオフィスを作る(2001年 光文社)
    ITが輝いた時代の作品。HPの活用法は参考になる。参考:url=http://www.noguchi.co.jp/(野口悠紀雄 ONLINE)
  • 小池洋男 編著: 09_果樹の接ぎ木・さし木・とり木(農文協:2007/3/31第1刷)
    やや専門的であるが、実務専門化が分担執筆しており、その場で役に立つ一冊。
  • ノーバート・ウィーナー(鎮目恭夫訳): 08_サイバネティックスはいかにして生まれたか(みすず書房1956)
    情報と通信という現代社会に不可欠の基礎的な学問を作った著者の自伝とそれを通した科学史
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    2010/8/4:MEMO等の表示に使える。 農作業で気になる自戒の言葉 ■畑の石ころはいつまで経ってもても石ころ(早く拾って片づけよという意味か)。 ■同じ石を二度拾うな(やってみると難しい)。 ■手ぶらで歩くな。 ■三つ先のことを読め。 ■適当な観察。 ■空を見よ(気分転換、休憩、天気を読む、腰曲がり防止)