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2010年11月15日

2010年11月15日 (月)

科学ニュースに独り言:口蹄疫の大流行。101115。

2010/11/15

科学ニュースに独り言:口蹄疫の大流行

今年、宮崎県で発生した口蹄疫の大流行は現代社会の縮図のように感じた。ようやく、流行の終息が宣言されたが、今後の流行の再発に心配ないのか気になる。

以下はWIKIPEDIA記事の引用である:
WIKIPEDIA(http://ja.wikipedia.org/wiki/2010%E5%B9%B4%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%8F%A3%E8%B9%84%E7%96%AB%E3%81%AE%E6%B5%81%E8%A1%8C)「2010年日本における口蹄疫の流行」(最終更新 2010年11月7日 (日) 00:34 )によると『2010年3月頃発生し、2010年7月4日の終息確認まで、宮崎県で発生した牛、豚、水牛の口蹄疫の流行である。28万8643頭を殺処分した。畜産関連の損失は1400億円、関連損失を950億円とした[1]。宮崎大学の根岸裕孝准教授(地域経済)は年間426億円の損失で3-5年続くとしている[2]。』
尚、口蹄疫に関してはWIKIPEDIA:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A3%E8%B9%84%E7%96%AB

宮崎県のホームページには、「宮崎県における口蹄疫対策の検証に関する中間的な論点整理」が掲載され、論点整理が進められているようだ。ざっと目を通してみたが、鳥インフルエンザが人への感染が懸念され大々的に予防対策が実施されたのに対して口蹄疫は牛・豚等の家畜のみに伝染するとされ予防対策に油断があったように感じる。

独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所のホームページ情報によると「韓国における口蹄疫の発生:2010年1月7日韓国で、2002年以来の口蹄疫の発生が確認された(下図)。」「遺伝子解析により流行ウイルスは近年東南アジアおよび中国で流行しているAタイプウイルス*と近縁であると報告された3)。」と報じられている。口蹄疫の流行が世界的な現象ならば世界の現状の把握と対策も必要であったろう。

宮崎県の論点整理では感染ルートの解明に関して、ウィルスの遺伝子解析の記述は見あたらない。国レベルで解析をしていると思うが、感染ルートの推定や対策に必要であるだろう。周知が望まれる。やはり、ウィルス感染に関しては初期対策と感染ルートの封鎖が最も有効だろう。しかし、このウィルスは高速かつ複雑な人や物資の移動に乗って感染するので一度広がると広範な影響が出てしまう。ウィルス対策マニュアルを作り、ウィルスを運搬する可能性のある人や団体に徹底する必要もあるだろう。

宮崎県の論点整理の中に、第三者の視点から口蹄疫対策システムをチェックする必要性が述べられていた。確かに、総合的な対策として常にシステムが最新の状態で稼働するようにシステムを維持しないかぎり効果は期待できない。大騒ぎして、一件落着で、その後は担当者も代わって、システムもぼろぼろになって再発を迎えるのが日本の常態ではないか。今回の大流行は口蹄疫対策システム構築のために貴重な経験になるであろう。定期的なPDCAを廻すシステム監査のような体制を構築するが必要だろう。国、県だけでなく、畜産関係農家や団体にとって対策を行うチャンスかも知れない。

最近、「共生の生態学」 ( 栗原 康著、岩波新書 新赤版 (546))を拾い読みした。牛は反芻動物で、一度食べた草等の食物を反芻し消化するようルーメン胃を持つよう進化して、その中に多数の細菌や微生物が牛と共生していると知った。その細菌や微生物も親牛が子牛を舐めてやるときに親から子牛に伝わるようだと書かれていた。現代では、牛の肥育は牧草より栄養価の高い穀物・動物飼料等が中心になっていると思う。狂牛病もこのような家畜を単なる食肉・牛乳生産工場と捉えることに発生の遠因があるようだ。

それでは、狂牛病ではなく、口蹄疫の場合はどうなのであろう。昔は口蹄疫もそれほど拡大せずに終息できたのであろうか。口蹄疫のウィルスが進入しても動物側の体力や免疫力が強ければ発病に至らなかったのではないか。食肉・牛乳生産工場的な飼育方式で家畜自体の病疫に対する抵抗性は下がっていないのか。口蹄疫の発病区域で、発病しなかった固体がいたのであろうか。もし、そういう固体がいたとすれば、感染した固体とどのような差があったのだろうか。畜舎も合理的に設計されて、ウイルスもスムースに移動できるようになっていないだろうか。考えてみると疑問は色々ある。これは我々人間自体に関する問いでもあるだろう。

追記:殺処分された家畜の種類別頭数内訳の確定情報を探したはっきりしなかった。以下は宮崎県の「口蹄疫からの再生・復興方針」の中に記載された殺処分された家畜の数値である。
県全体頭数         牛               豚             その他
211,608頭        37,412頭      174,132頭         64頭

WIKIPEDIAによると、豚に感染した口蹄疫は感染力が高いとの記述もある。その豚への感染が全体の80%以上というのも考えさせられた。また、濃厚接触した場合は人にも感染するとの記述もあった。宮崎県のホームページには「口蹄疫は、牛、豚等の偶蹄類の動物の病気であり、人に感染することはありません。また、感染した牛肉や牛乳が市場に出回ることはありませんが、仮に感染した牛肉や牛乳を摂取しても人体には影響ありません。」とある。風評被害対策の意味もあると思うが、感染した可能性のある家畜を扱う立場の人間を油断させてしまうおそれがないか心配になった。

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追記(2017/11/12):記事整形、過去BLOG再読、印象・コメント等
タイトル文字の大きさと色を変更。記事の投稿期日を追加。
今年は、加計学園の獣医学部設置問題が、大きな問題になった。その中で、口蹄疫や鳥インフルエンザ対策に、獣医師が必要だという指摘もあった。伝染病は、人だけでは無く、家畜に関しても、国家や地方自治体レベルで十分対策を行う必要があるだろう。従って、一私立大学に、対策を丸投げしても解決にならないのは、火を見るより明らかではないか。

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