2008/11/26
古屋の風呂炊き
自分が生まれ育った家は築100年位経ていたと思われる藁葺きの中二階で櫓が付いてい
たように思う。新築時は茅葺きと思われるが、茅が無くなると麦藁が代用された。さすがに
くたびれた家で、すきま風と雨漏りには悩まされた。間取り、構造は養蚕を考慮して作られて
いたようだ。客間でも蚕を飼ったことがあった。中二階は上族(じょうぞく)、繭作りに使われ
た。とぶ口(玄関)を入ると南北の土間の通路で裏庭に通じていた。家の南東の一番いい場
所が馬小屋であった。終戦直後はそこに馬がいたとのことだ。その馬小屋の一角が風呂場
になっていて、木製の風呂があった。この風呂桶に、両手にバケツを下げて水を運び、湯を
沸かすのが子供の仕事であった。井戸ポンプで水を汲み上げ、長い土間通路を通って水を
何回も運ぶので大変であった。それがほぼ毎日なのだ。水を入れた後、かまどに火をおこし
湯を沸かす。これも時間がかかる仕事である。地域に共同風呂ができたり、自家水道と太陽
熱温水器が導入されてこの風呂炊きという仕事から解放された。親たちが汗を流して野良仕
事をしているのだから子供の風呂炊き位は当然という時代があった。