2008/11/19
父が買ってくれた野球道具
幼児から少年期にさしかかると遊びも遊び友達も変わってくる。野球も一般人が親しむのは
テレビ中継が始まった事による功績が大きいのではないか。子供の世界でも野球の人気は
高い。プロ野球と高校野球が野球人気の源ではなかろうか。幼少時は人数が少ないときは
キャチボールや三角ベースの草野球をした。バットも竹や木の棒等で代用したように思う。そ
れが段々本物が子供の世界にも入ってくる。中には皮のグローブを持っている子供も出てく
る。その皮のグローブに丁寧にワックスを塗っている姿をみると自分も無性に皮のグローブ
を欲しくなった。そうして、父に野球道具を買ってくれと直訴した。なんと、父が買ってきてくれ
たのはプラスティックのバットとビニールのグローブであった。幼いながらこれには愕然とし
た。しかし、そろそろ分別が付き始めてきた頃なので父の気持ちも理解できないわけではな
い。多分、今から思えば父が当時の子供の世界の事情など知る由もなかったろう。自分も皮
のグローブとまでは言わなかったのだろう。ともかく百姓仕事を休んで、出せる範囲の金で
息子のために野球道具を買ってきてくれたのである。野球解説者の小西得郎氏の「何と申し
ましょうか」という小西節といわれる名言(迷言)をふっと思い出した。野球のボールが選手の
急所に当たった時にとっさに出た言葉だそうだ。父の野球道具の買い物も何とも言えないほ
ろ苦い記憶ではある。