2008/11/15
拾われた小犬
人により、猫が好き、犬が好きと好き嫌いがあり、家で飼う動物にも違いがあるようだ。我が
家では犬を飼うより猫を飼う傾向があった。そんな時、娘が幼稚園の帰りに捨て犬を見つけ
て連れてきた。可愛いからと思ったのと可哀そうだと思ったのと両方の気持ちがあったよう
だ。うす茶色の日本種系の雑種のメスの小犬であった。娘はチャロという名前をつけて、餌を
くれたり色々世話をした。祖父はチャロのため犬小屋を作ってやった。孫の姿を見て作る気
になったのだろう。犬はすらりとした成犬となり犬小屋も小さくなった。そんなとき、二匹の小
犬を産んだ。娘がこの二匹に付けた名前は覚えていない。しかし、自分はこの二匹が体格も
性格も対照的なので鳴き豚(チョロマツ1号)と短足(チョロマツ2号)というあだ名を付けた。
(娘が付けた名前:後から確認)鳴き豚は体格も良く気性も強く良く鳴きその割には頭脳の方
は今一であった。一方、短足は足が短く気性は穏やかで余り鳴かず頭脳は賢かった。見知
らぬ人が来ても泣かないのでこの犬は馬鹿かと思ったが、そうではなかった。番犬としてのし
つけをしないだけであった。この二匹も成犬となり、三匹の成犬を飼うことになってしまった。
おかげでこれらの犬に自分も散歩させてもらった。三匹一度に散歩させる時は大変であっ
た。ある時、鳴き豚が鎖をほどき失踪してしまい、探したが見つからず、二度と戻って来なか
った。あの犬はきっと鎖に繋がれない生活が気に入っていたのであろう。鳴き豚の性格らし
い別れであった。母犬は十数年生きた。母犬が死んだときは供え物をして畑の片隅に埋葬し
た。娘は泣いていた。短足もその数年後に穏やかに死んで行った。老衰であったようだ。母
犬の近くに埋葬した。人間と同じく犬にも色々な運命があった。その犬たちと生活して、娘も
家族もかけがえもない思い出が残せたのは、あの捨てられた小犬が拾われて我が家に迷い
込んだのが縁であった。犬たちは自分たちの一生をどう思ったことだろう。ひょっとして自分
の気持ちに忠実に生き、自分の運命を選び取ったあの馬鹿な鳴き豚が一番賢かったのであ
ろうか。そう思うと、あの鳴き豚がどんな最期を迎えたかが思いやられる。