2009/2/15
広葉杉
この樹木の名前は何というのであろうかと常々思ってきた。自分が幼少の時に大木があっ
た。その大木は古い家を引いて移動させる頃に切り倒された。株元からひこばえが伸びてき
た。それが移植され何とかその木の系統が保存された。とげのある小さな葉が集まって細長
い大きなむかでのような葉をつくっている珍しい樹木である。トゲで手入れはやりにくい上に
何の役にもたたない。近隣で見たことが無い木であること、なぜ我が家だけにあるのか不思
議であること、生き残るスペースがあったこと。これがいままで残っている理由であろうか。植
物図鑑で探したが手がかりがつかめず空振りで終わっていたが、あるときようやく「広葉杉
(こうようざん)」だろうと分かった。杉の種類ではあるが、日本原産種ではないようだ。木材と
して使われるようだが、日本では神社仏閣に植えられていることもあるらしい。ともかく小さな
疑問は少し解けたが、どうして我が家にあるのか、絶やしてよいものかまだ引っかかるもの
が残っている。大木になる樹木は人の抵抗を受けている頃はそれに忍従している。しかし、
人や環境の抵抗を突破するとすくすくと大木に育ってしまう。兄弟もいい加減に樹木の整理を
したらいかがかと助言をする。迷いはする。しかし、切るは一日という思いもある。百年たって
成長した大木もチェーンソーとクレーンにより一日で切り倒せてしまう。何事も姿のある物が
姿を消すとそれにまつわる記憶も消えてしまう。