2009/3/24
コンデサーが鳴る?
企業では色々な製品を試作し評価している。その企業なりのこだわりを持っている。特に高
級音響機器などは立派な視聴室を備えて経験豊かな技術者が神経を集中して対象品を評
価する。あるとき、顧客からもたらされた相談にコンデンサーが鳴るという問題があった。ク
レームよりは相談に近い問題であった。持ってきた機器に自分が耳をそばだてても何も聞こ
えない。普通の大部屋なので色々雑音も入るが当人は確かに聞こえるという。電源トランス
が低音で鳴ったり、ブラウン管が放電でパチパチと鳴ったりする事はある。しかし、音を出し
そうなものは無かった。官能試験となるとその人の感覚の鋭さが評価の基準になる。とうとう
分かりませんと宣言せざるを得なかった。テレビの水平偏向周波数は15キロヘルツでこれを
聞き分ける人はいるが実用的にはほとんど無視される。そのとき、かってベンチャー企業の
セールスが圧電ブザーの紹介に来た事を思い出した。圧電素子は一種のセラミックコンデン
サーのような物である。コンデンサーのような素子から音を出す素子を作ったものだ。要する
に電気的なエネルギーを機械的なエネルギーに変換する能力がある部品は何らかの音も出
している事になる。ひょとしたらセラミックコンデンサーのどれかが鳴っているのかもしれない
というヒントを提供するだけで終わってしまった。今日、セラミックスピーカーは小型化でき製
品のばらつきも少ないので多方面に使われているようだ。犯人と思われるコンデンサーを取
り外し外部から信号電圧を加えて音が出るか確認すれば犯人が特定できたかもしれない。