2010/1/3
エポケー
哲学と言うと何か別世界のように感じてしまう。物事をつきつめて考えるのは人間の習性なのかもしれない。しかし、哲学などは大抵の人が敬遠してしまう。
高校の頃、吉田兼好が誰かに何か質問をしたが、答えられなくなったという事を徒然草に書いているのを読んだ事があるのを思い出した。
自分の幼少時に母に発した質問に、「かーちゃん、太陽は火かい、月は水かい。」というのがあったと母から聞いた記憶が残っている。そのような、質問を受けた大人は当惑して何とかその場をしのごうとする。大人に難問を投げかけた子供も大人の態度に失望して、同じ質問は憚るようになり、結局前の大人のような大人になる。
高校の頃、ベルグソンの笑いという薄い岩波文庫を電車の中で読んだ記憶がある。哲学者であるベルグソンと笑いというテーマの結びつきに興味があった。安くて携帯に便利というのが選書の第一理由であった。日本ならば謹厳居士である哲学者が笑いについて書く事もなかろうと、安直、皮肉な考えもあった。内容は既に忘れたが、著者のサービスなのか入り口近くに少しは笑える部分があった。
最近では、笑いを研究する学会が出来たようでそれなりに笑いの研究の意義があるのだろう。哲学とはあるテーマに関して未知の分野を解明する作業といえるのではないか。これは哲学でござるといった所でその哲学は終焉している。
当然笑いについても突き詰めれば未知の分野が広がっている。残念ながら、人間の生きた精神作用を解明するためには、生きた精神作用を利用する以外に方法がない。ドリルの歯をつくるのにドリルが使えるのか。
東京スカイツリーの建設も自分が築いた足場の上で作業して一歩ずつ前進する。しかし、何らかの事情でその工程が進められない場合が生じる。そんな場合、一時停止、休止して括弧に入れておくことをエポケーと言うらしい事を知った。
何事も行き詰まる事は無いとはいえない。しかし、行き詰まって、悪あがきするよりも、一時停止・一服して、反省、レビュー、再評価、検証等のやり直しをすると意外にうまくゆく場合があるようだ。
括弧、括弧と何重にも括弧でくくって来た人生。捨てないで良かったと思うものもあるだろう。そんな括弧を少しでも取り払ってつん読の古本でもじっくり読んでみたい。
そういえば、本日は遠方の旧友から電話をもらった。うれしい。昨年退職したが、今後はマイペースで働きたいという事であった。一方、近所の同級生の訃報を聞いた。まだ、そんな年齢でもないのにと残念に思う。
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追記(2017/10/24):整形、再読、印象;
Googleにてキーワード「東京スカイツリー」で本サイト内を検索
Googleにてキーワード「笑い」で本サイト内を検索
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2010/1/3
エポケー
哲学と言うと何か別世界のように感じてしまう。物事をつきつめて考えるのは人間の習性な
のかもしれない。しかし、哲学などは大抵の人が敬遠してしまう。高校の頃、吉田兼好が誰か
に何か質問をしたが、答えられなくなったという事を徒然草に書いているのを読んだ事がある
のを思い出した。自分の幼少時に母に発した質問に、「かーちゃん、太陽は火かい、月は水
かい。」というのがあったと母から聞いた記憶が残っている。そのような、質問を受けた大人
は当惑して何とかその場をしのごうとする。大人に難問を投げかけた子供も大人の態度に失
望して、同じ質問は憚るようになり、結局前の大人のような大人になる。高校の頃、ベルグソ
ンの笑いという薄い岩波文庫を電車の中で読んだ記憶がある。哲学者であるベルグソンと笑
いというテーマの結びつきに興味があった。安くて携帯に便利というのが選書の第一理由で
あった。日本ならば謹厳居士である哲学者が笑いについて書く事もなかろうと、安直、皮肉な
考えもあった。内容は既に忘れたが、著者のサービスなのか入り口近くに少しは笑える部分
があった。最近では、笑いを研究する学会が出来たようでそれなりに笑いの研究の意義があ
るのだろう。哲学とはあるテーマに関して未知の分野を解明する作業といえるのではない
か。これは哲学でござるといった所でその哲学は終焉している。当然笑いについても突き詰
めれば未知の分野が広がっている。残念ながら、人間の生きた精神作用を解明するために
は、生きた精神作用を利用する以外に方法がない。ドリルの歯をつくるのにドリルが使える
のか。東京スカイツリーの建設も自分が築いた足場の上で作業して一歩ずつ前進する。しか
し、何らかの事情でその工程が進められない場合が生じる。そんな場合、一時停止、休止し
て括弧に入れておくことをエポケーと言うらしい事を知った。何事も行き詰まる事は無いとは
いえない。しかし、行き詰まって、悪あがきするよりも、一時停止・一服して、反省、レビュー、
再評価、検証等のやり直しをすると意外にうまくゆく場合があるようだ。括弧、括弧と何重に
も括弧でくくって来た人生。捨てないで良かったと思うものもあるだろう。そんな括弧を少しで
も取り払ってつん読の古本でもじっくり読んでみたい。そういえば、本日は遠方の旧友から
電話をもらった。うれしい。昨年退職したが、今後はマイペースで働きたいという事であった。
一方、近所の同級生の訃報を聞いた。まだ、そんな年齢でもないのにと残念に思う。