2010/11/14
読みかじりの記:(高山)彦九郎 歌と生涯(1)
高山彦九郎の事を意識的に知ったのは、会社退職の送別会が冠稲荷神社の結婚式場(ティアラグリーンパレス)で行われるので、細谷駅で下車したが、時間があったので、近くの太田市立高山彦九郎記念館にぶらりと入った時であろう。一通り見て、見学の記念にと「高山彦九郎の実像」という本を購入した。拾い読み程度で、その後は書棚の隅に潜んでいた。1993年6月3日あさを社発行のソフトカバーの冊子であった。そのサブタイトルが、前段に「没後200年 混迷の世によみがえる」、後段に「維新を呼んだ 旅の思想家」とあり、高山彦九郎没後200年の記念出版でもあったようで、編集者が末尾にやや長い出版の背景等を記録している。
二十数名の執筆者の中に、歌集「山河哀唱」の著者で歌人の須永義夫氏が「彦九郎 歌と生涯」という題名で7ページの文章を書いているのを最近みつけた。須永義夫氏の意識の中には戦前の青年時代から平成の時代まで高山彦九郎への強い関心があった事がうかがわれた。
その文の冒頭で、須永氏は「彦九郎の生涯を見ると誠実で情熱的な人間が、変革の時代の中でどんな生き方をしたかが解る。単なる二百年回顧でなく、日本人の苦悩として、高山彦九郎正之という人物に焦点を当てて考えてみる必要がある。」と述べて、詳論に入っている。