読みかじりの記:風の男 白州次郎(2000年 青柳 恵介 著)

2011/2/26
気象庁は関東地方に春一番が吹いたと発表。昼間は気温が上がったが、夜は強い北西の風が吹いた。

昨日の天気

TAVE= 9.8
TMAX= 21.2
TMIN= 3.6
DIFF= 17.6
WMAX= 12
SUNS= 9.8
RAIN= 0

以下本題。

読みかじりの記:風の男 白州次郎(2000年 青柳 恵介 著)
最初は私家本として平成2年に出版された白州次郎の伝記のような本である。白州正子の「名人は危うきに遊ぶ」という新潮社の文庫本と一緒に買った。白州次郎という人物には余り馴染みがなかったが、白州正子の名前に惹かれてまとめ買いした。一読して、印象に残った部分は『次郎はトムソンの試験を受ける際、十分に勉強してのぞんだが、返ってきた答案の点数は低く、「きみの答案には、君自身の考えが一つもない。」と記してあった。そこで、次ぎの試験の際には存分に自分の意見を書いたら、評価が高かったという。』この部分は徳川家康の直系の子孫で白州次郎と交流のあった徳川家広からの伝聞らしい。ここで、トムソンとはイギリスのケンブリッジ大学教授で物理学者のJ.J.トムソンの事。白州次郎がケンブリッジ大学に留学したときの一こまである。J.J.トムソンは電子というものが存在することを証明してノーベル賞を受賞した。20世紀は電子技術が広範囲に実用化した時代でもあった。白州次郎がイギリスでJ.J.トムソンから講義を受けていたと知っただけでも白州次郎を理解しようとする興味を覚えた。自分独自のしっかりした考えを持つ、ケンブリッジ大学を卒業した紳士としての誇りを持つというような青年期の体験がその後の白州次郎のバックボーンになっているように感じた一節であった。白州次郎が活躍した終戦前後の場面に登場する人物も多彩であり、戦前・戦後にわたる昭和という時代を具体的にイメージするにも本書は参考になった。特に、日本国憲法の成立過程でGHQと日本政府の交渉の間で活動した白州次郎も歴史の理解で参考になった。この本は当時の上流階級についても記されているが、白州次郎はその上流階級のノブレス・オブリージュという側面を意識して行動できた人物なのかもしれない。

ジョゼフ・ジョン・トムソン:出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(最終更新 2011年2月13日 (日) 08:09 )によると「サー・ジョゼフ・ジョン・トムソン(Sir Joseph John Thomson, 1856年12月18日-1940年8月30日)は、イギリスの物理学者。しばしばJ.J.トムソンと呼ばれる。電子と同位体の発見者であり、質量分析器の発明者である。1906年に電子の発見と気体の電気伝導に関する研究でノーベル物理学賞を受賞した。」