2011/3/21
環境雑録:大天災と食料の安全保障
昨日の月齢は満月であったが、夕方より雨となり満月は姿を現さなかった。自然が東北関東大震災に配慮してくれたかのようにも感じる。しかし、雨や雪に含まれる放射性物質の怖さこそ現実になりつつある。被災地で作られた農産物が今後どうなるのか憂える。既に、行政的にはコメの作付け調整に入っている。日本の水田は米の需要に対して余力がある。生産過剰は米価の下落を招く。そういう論理で現在も減反政策は続行している。これを生産調整という美名で隠す。東北地方の震災で米の作付けも不確定要因が加わった。それに加えて今年の夏が冷夏だった場合は、また悲惨な状況が発生する怖れもある。農業の個別所得補償政策はコメ以外を作らせようとするが、日本の水田はコメを作るために千年以上かけて作られてきた食料生産体系なのだ。食料安保の基本ではないか。一方、日本の食料の自給率はカロリーベースで40%程度と自国が独立して生きられる食料を確保していない。万一の時他国に頭を下げて物乞いをしなければならない。衣食住を独立してまかなえる事が政治の全てであり、それが国民が自尊心を保てる最低の保証なのである。東北地方の被災地域でのコメの作付けは可能なのか。コメの生産は山間地より平坦地が適す。地震、津波の被害地に重なるのだ。
本日は春分の日。待ちに待った春到来であるが、被災地の人々にとっては墓参りのゆとりもないであろう。しかし、どこにいても祖先に向き合う事は出来る。東北地方は大規模の飢饉に耐えてきた歴史を持つ。こういう難局の時こそ、祖先の微かな声に耳を傾けてみたい。その声が耳に届けば今日の難局を乗り越える勇気を与えてくれるのではないか。旅の思想家と呼ばれ、群馬に生まれた高山彦九郎はその飢饉の様子を記録に残している。改めて、人知を越えた天災を振り返った。
読みかじりの記:(高山)彦九郎 歌と生涯(8)(http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2010/12/post-e6e2-2.html)
昨日の天気
TAVE= | 11.6 |
TMAX= | 18 |
TMIN= | 4.6 |
DIFF= | 13.4 |
WMAX= | 4 |
SUNS= | 8 |
RAIN= | 0.5 |
以下本題。
かみつけ女流歌人 雅:「山峡の雪」
歌題=「山峡の雪」:
■あのあたり 我が家在りにしを 渇水の ダム指に差し 媼面伏す 42 桜井 君代
旅の情景のひとこまか、渇水したダム底を指さす媼への共感は深い。
追記:今回の東北関東大震災で原発事故で生じた電力供給能力の不足を水力発電が補った。人間で言えば、引退した後期高齢者が火事場の馬鹿力を発揮するのに等しい。代替えエネルギーの確保は危機管理の面からも不可欠だ。ダム建設も住民や自然環境への影響は非常に大きい。しかし、核廃棄物という負の遺産を後世に残さず、自然の循環の中でエネルギーを生産できる。今回の東北関東大震災が日本のエネルギー政策の大転換になる事を願う。後期高齢者も社会のバックアップ要員として自信と誇りを持って生きよう。