愛しき古里:若者をふるさとに引き戻す力は何か

2011/7/2
昨日も暑い一日。AMEDAS最高気温(℃)= 34.7 (15:08 )。日中は家の中にひきこもった。夕方草むしりと灌水。この夏の節電は「電気使用制限等規則」が根拠。500KW以上の電力契約者に15%の節電を義務づける。一般の小口契約で無理な節電をして熱中症等の健康被害等に遭遇しないようにしたい。それにしてもなぜ政府は3月の電力危機にこの法令を発動しなかったのか。畑の隅のアジサイが咲いていた。冬枝を切ったつもりがまた大きくなっていた。

昨日の天気

TAVE= 28.3
TMAX= 34.1
TMIN= 24.1
DIFF= 10
WMAX= 2.9
SUNS= 5.6
RAIN= 0.5

河北春秋は、「震災以来、何度か心をよぎった短歌がある。昨年3月… ;url=http://www.kahoku.co.jp/column/syunju/20110702_02.htm(2011年07月02日土曜日)」というタイトルで、「震災以来、何度か心をよぎった短歌がある。昨年3月に亡くなった竹山広さんの〈居合はせし居合はせざりしことつひに天運にして居合はせし人よ〉▼災害を免れた人は単に偶然であって被災は決してひとごとではない―そんな意味だ。竹山さんは長崎の原爆で兄を失い、自らも被爆している。一首は阪神大震災の折の作だが、被爆体験と二重写しとなって痛切に響く」と冒頭に書いた。

震災からまもなく4ヶ月になるに際して、ボランティアで駆けつけてくれた人々、色々な応援をしてくれた人々も、『誰もが被災を「わがこと」と感じたからだろう。』と「被災地から全国の皆さんに(「無言の感謝」を)贈りたい。」と述べていた。

自分も、冒頭の歌を読み、深い意味を感じた。作者は「居合はせし人よ」と呼びかけている。天運だから...とあきらめているのではない。そこに「居合はせ」て亡くなったものにもそこに「居合はせ」て生き残ったものとして何かを語りかけている。そんな解釈もできそうだ。

愛しき古里:若者をふるさとに引き戻す力は何か

福島県は原発事故で県外で避難生活している人が多い。生活をしてゆくには職が必要だ。何かのニュースでかなりの若者が県外に住みたいと思っているらしい事を知った。若者が都市部にあこがれるのは全国共通だろう。人口は都市部で増加して地方で減少しているのが実状だ。都市と地方が機能を補完しているのは事実であるが、現実にある都市と地方の格差は大きい。都市を中央・国家とみれば、国と地方の問題でもある。

最近、福島県生まれの人から聞いた話だが、長兄に農業を託し、他の兄弟達は郷里を去って他県に職を求めたとの事。その兄が、福島原発事故による避難指示で、スリッパ一つで飛び出して避難したそうだと郷里の惨状を嘆いていた。在職中の上司もたわけ者の意味を知っているかと教えてくれた。田を分けて小さくしたら農業は共倒れになるから、そういう事をやる馬鹿をたわけ者と言うんだと。その上司も大学を出してもらい、職と共に群馬の地まで来ていた。

生活を立てて行くには職・仕事が必要だ。特に若い人は、魅力のある仕事を求める。福島県は「新しい福島県総合計画に関する高校生アンケート調査結果(速報)url=http://wwwcms.pref.fukushima.jp/download/1/sougoukeikaku_210129_4-2.pdf」を公表している。その中で、「問4 問3で「3.住みたくない」と回答した方にお聞きします。その理由は何ですか。(複数回答可)」という質問への回答結果を引用すると、
希望する就職先、進学先がないから(22%)
魅力のあるイベント、施設が少ないから(22%)
日常の買い物、通勤、通学など生活が不便だか(20%)
市街地に活気がないから(20%)
となっていた。これは全国の地方に共通する問題ではないかと思う。希望する業種・職種は様々に分かれているのは当然だろう。また、就職、進学を希望する地域として福島県が30%、その理由として住み慣れた環境で生活したいからが32%を占めることは注目に値する。
「これから福島県がどのような県になってほしいですか。(3つ選択)」の最多回答が「豊かな自然環境が守られている県」であった。この調査結果を見ると、地方に魅力と仕事があれば若者は地方で暮らすのではと感じた。

地方の時代、地方分権が叫ばれているが、都市と地方の格差は広がる一方である。しかし、都市・中央の実像は今どうなっているのだろうか。実際は、自分が住んでいる地方の良さを知らないで都会をうらやましく思っている場合もある。地域の良さを発見するのが第一歩なら、少しでも良くして行こうと活動するのが次の第二歩目になるのではないか。人間住み慣れた地で生活したい欲求は必ずあるだろう。生活を支える仕事や職が無ければその欲求を満たせない。やはり、地方自治体が腰を据えて長期的な視野で取り組まなければこの問題は解決しないだろう。そのリトマス試験紙が地方議員や首長の選挙であるが、7月3日の県知事選が迫っている。県選管がチャーターした飛行機が投票を呼びかけていたが、県民が進んで投票に行くようになる位でないと地方はますます疲弊してしまうのではないか。知事選の立候補者諸氏は若者に何を訴えただろうか。

以下本題。

かみつけ女流歌人 雅:雪笹の朱実

歌題=雪笹の朱実:

■柿の木の 接木する父が 嫁吾れを 手伝はせけり 五十年経る 56 須永 花子

嫁に来たとき父に接木の手伝いをさせられた事を五十年後に回想した貴重な記録を伝える一首。