老人の寝言:大局を見た決断の早さが経営の勝負を決める

2011/9/21
昨日は台風15号の影響で終日雨。一昨日の最高気温と昨日の最低気温の差は実に▲15.5℃である。半袖シャツの上に長袖シャツを羽織った。時既に遅く、クシャミの連続と鼻水。身体が追従できない気温変化だ。雨なので宿題の続き。いつまとまるか。9月2日に野田政権が発足して、ご祝儀相場でドジョウの人気はちょっとだけ上がったが、いまや3匹目のドジョウなりそうな気配も漂い始めた。

2011/9/20の天気

TAVE= 19.0
TMAX= 19.9
TMIN= 18.4
DIFF= 1.5
WMAX= 2.5
SUNS= 0
RAIN= 10

最低気温(℃) = 18.2  (05:44)

FNNニュースは、「野田首相、国連総会や日米首脳会談などに臨むためニューヨークへ向け出発;url=http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00207937.html(09/21 01:26)」というタイトルで、「野田首相は20日夜、国連総会や日米首脳会談などに臨むため、アメリカ・ニューヨークへ向けて出発した。野田首相は「復興に向けての取り組みや、原発事故の収束に向けた取り組みを説明し、グローバルな課題に貢献していくという意思を力強くメッセージとして発信したい」と述べた。」と報じた。

首相は国際外交の実績が少ないと国内では指摘されている。今こそ、本格的な国際外交レビューの意気込みなのかも知れない。是非ともこの機会を生かしてもらいたい。ともかく、今は各国がお手並み拝見という段階だろう。しかし、客観的事実として、一国の首相が国際外交の実績が少ないと言われる裏には、行動や思索が内向きであったという事を否定できないのではないか。ドジョウを自認するのも結構ですが、世界は広いです。掴み所がない内向きな発言は一瞬たりとも世界のニュースにはならないでしょう。ドウジョ尻尾くらいは掴ませて下さい。

Googleで「泥鰌総理がアメリカに出発した。」を英語に翻訳⇒「Prime Minister left for the U.S. soil.」泥鰌=ドジョウ=土壌=SOILでは冗談にもならない。ドジョウは余りにもローカル過ぎるようだ。それが世界の現実なのかもしれない。その点、下記シーメンスの原発事業撤退のニュースのインパクトは大きい。

老人の寝言:大局を見た決断の早さが経営の勝負を決める

ヨーロッパのユーロが大きく変動している。ヨーロッパは誇り高い小国が多い。気持は独自路線を選びたいが、規模の小ささでは大きな規模の相手には勝てない。EUもユーロも規模を大きくする仕掛けである。システムの全ての要素が順調ならシステム自体も順調になるのが一般論だが、そのシステムの中にどうにもならない要素ができるとシステム全体が病んでしまう。そこには、人体と同じ類推が働く。ともかくヨーロッパという地域は、全体としては老年期にさしかかっているように見える。多分、ほとんどが陸続きの国なので、地理的にも気象的にも一国主義は通用しないのではないか。隣国の顔色を見ながらの生活が基本になる。東京電力福島原発事故で大きな反応を示したのはヨーロッパではないかと思った。以下のニュースが目に付いた。

asahi.comは、「独シーメンス、原発事業撤退 独の脱原発政策受け;url=http://www.asahi.com/international/update/0919/TKY201109190375.html(2011年9月19日22時26分)」というタイトルで、「ドイツ電機大手シーメンスが原子力発電事業から撤退することが明らかになった。ドイツでは、メルケル政権が東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて2022年までの原発閉鎖を決定している。政策転換が企業の戦略にも影響を与え始めた。 レッシャー最高経営責任者が18日の独誌シュピーゲルで撤退の方針を表明。同社の広報担当者は19日、「今後は原子力発電所建設を率いることはないし、原子炉事業にも関わらない。ドイツの脱原発を踏まえた戦略的な決定だ」と語った。 」と報じた。

フランスのサルコジ大統領が来日したのが3月31日。余りに早い対応で、菅前総理との会見で、総理は満面の笑みをたたえていた。菅前総理も原発輸出に乗り出していた所だが、フランスに完全に先を越された。その後、フランスは原発大国であると知った。フランスと言えども原発の扱いを誤れば政権は一度で倒れるもろさを見せたのがサルコジ大統領来日の真相であったようだ。サルコジ大統領の機敏な行動の中にフランス国内の原発に対する不安の増大を抑制させる意図があったようだ。

ドイツのシーメンスといえば歴史のある名門企業。「シーメンス;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%B9;(最終更新 2011年7月17日 (日) 07:23)」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。の記事に「シーメンス(ドイツ語の発音はジーメンス 発音例・アーゲー、Siemens AG )は、ドイツのバイエルン州ミュンヘンに本社を置く多国籍企業。06年の連結売上高は873億ユーロ、約14兆円。連結純利益は303億ユーロ、約5000億円。もともと電信、電車、電子機器の製造会社から発展し、現在では情報通信、電力関連、交通、医療、防衛、生産設備、家電製品等の分野で製造、およびシステム・ソリューション事業を幅広く手がけるコングロマリットである。」とある。

シーメンスが多国籍企業で、その事業分野が広範囲にわたっているという点から見て、シーメンスが原発事業から撤退する意義も見えるような感じがする。ドイツは第二次世界大戦でナチの戦争責任を厳しく追及してきた。ともかく、ドイツが周辺国家に膨大な損害を与えたという自覚と負い目は今も生きているのではないか。シーメンスが原発事業で利益を得ても、万一その原発で事故を起こしたらその影響は全事業に及ぶのは明らかだ。誰にも明かかも知れないが、経営体としてそれを宣言しない限り、その企業が何を企業理念にして行動しているのか世界には理解されない。上記のシーメンスが原発事業から撤退するというニュースは、福島原発事故事故後半年という短期間でなされた経営判断である。撤退の時期、方法等は明かではないが、事業の集中と選択という見地から、早期に原発というババ抜き(又は癌の摘除)をした事に経営の機動力の速さを感じる。企業イメージは企業価値の一つであろう。そういう意味では、企業価値を高める判断ではないか。それが実証されるのは10~20年後になるかもしれない。もし、日本の原発関連企業が惰性で事業を進めた場合、10~20年後に大きな差が出ているかもしれない。これは、企業だけの問題ではない。国家に関しても全く同じだろう。ヨーロッパ諸国では、陸続きの隣国に、放射性物質をまき散らし損害を与えたら地域から完全に見放された犯罪国家に成り下がる事を常に警戒しているのではないか。その点日本は島国根性に安住して自国のあるべき姿さえ描けていないのではないか。資源小国の日本は世界から見放されたら栄養失調の孤児に成り下がるのは目に見えている。