2008/9/9
接木
接木とはなかなか興味ある現象だ。
その現象が利用されているのが植物だ。
品種A(穂木)と品種B(台木)を合体させる技術である。
この技術の利点は品種Aと品種Bの両方の良い利点が実現できる事だ。
通常は最終目標(おいしい果物を作る等)とする品種を穂木という。
穂木を支えて穂木が良い仕事をする土台となるのが台木だ。
家で例えると台木が基礎であり穂木はその上の構築物になる。
台木は見えないところで主人を支えているのだ。
不思議なのは台木も穂木も合体して一緒に生きて行くこと。
動物ではこれが大変難しい。
更に不思議なのはなぜ合体が可能なのかということ。
結局、Aの細胞とBの細胞が共生できる十分な能力を
持っているからと考える以外にない。
Aの細胞とBの細胞が繋がっている部分、即ち接合部が重要な役割を演じているのだ。
基本原理が学理的に解明されるとその応用が一挙に拡大する。
接合部が重要な働きをしているよい例がトランジスターだ。
米国ベル研究所のショックレー、ブラッテン、バーディンによって、
1947年に発明され、1948年に公表された。
還暦を迎えているがその応用分野と関連産業は
衰えることを知らない状況が続いている。
ところが、接木技術は一千年以上も前から利用されていたらしい。
接木は経験的には確立された技術ではあるが、学理的には完全に解明されていない
ようである。
納得できる接木理論にお目にかかった事がない。
生物内部の現象はあまりにも複雑で解明することに実用的な価値が乏しいのであろうか。
ともかく、今接木の不思議に魅せられている。