2008/10/29
飯炊き
電気釜が普及する以前は飯炊きは竈を使用していた。燃料はマキは良い方で大抵は蚕の
餌にした桑の枝を使っていた。葉を蚕に食べさせた残りの枝を乾燥させ燃料としたのだ。し
かし、桑の枝は細くてすぐに燃え尽きてしまう。飯が煮えるまで何度も竈に桑の枝を継ぎ足す
必要があった。大人は朝飯前の仕事、夜なべの仕事で飯を炊いている時間も無い。そこで
子供の出番である。駄賃として五円か十円の硬貨一枚を小遣いにもらい飯炊きの仕事を手
伝うことになる。焚き付けとして杉の枯葉、古新聞等をつかう。枝がしめっているとなかなか
燃えない。こういう時には吹き竹という道具を使った。竹の筒の中間をくり抜いて、先端だけ
は細穴をあけた物で、この筒に口を当てて息を吹き込む。竈と囲炉裏が隣り合わせにあり、
囲炉裏の方は鍋をかけたりする。煙突もないので、燃えないで煙が出ると大変であった。とも
かく、こういう仕事もとくにいやがる事もなくやったように記憶している。子供ながら、家族の中
での自分の位置をおぼろげながら理解していたのであろう。