2009/1/27
パンチカードと紙テープ
入社数年後に高周波トランジスタの開発に従事した。目標はTVチューナー用につかえる、安
定に動作する性能の良いトランジスタであった。最初はVHF、次はUHF用。安定度は一口で
言えるが、これを定量的に表すことが困難であった。四個の高周波パラメータを測定してそ
れをコンピュータで計算する。一つのパラメータが実数部と虚数部をもつので結局八個の変
数を含んだ計算をする必要があり、手計算ではいつ結果がでるか予想もできない。
FORTRANでプログラムを作成して、大型コンピュータで計算させた。プログラム用紙ににプ
ログラムを書いて係りに渡す。それを係りでパンチカードでコンピュータに入力。プリンターで
印字された計算結果を受け取った。バックアップのプログラムは紙テープであった。データや
プログラムのやりとりをして結果がでるまで数日かかった。コンピュータの計算時間は短いか
もしれないが、人間と機械のインターフェースも未熟であった。コンピュータ本体にお目にか
かったこともなかった。きっと入室制限された冷房完備のコンピュータ室に鎮座していたので
あろう。その後、HP社の小型のデスクトップコンピュータが担当部署に導入されたので他人
の手を煩わせることもなく技術計算が簡単にできるようになった。