2009/2/21
超音波リモコン
テレビにチャンネル切り替えがあるので自分の見たい番組を見られる。そのチャンネルを選
ぶ装置がチューナーである。昔のチューナは選局するための部品を機械的なスイッチで切り
替えていた。一度テレビの前に座り込んでからチャンネルを替えようととすると、チャンネル
に手が届く所まで行かなければならなくなる。この、ものぐさを助ける装置がリモコンである。
もっともらしく言うと遠隔操作装置である。手元とテレビの間を何かで結ばないとリモコンはで
きない。初期のころは細い電線で繋いだ。電線は邪魔で範囲が限られるので、その次ぎに超
音波が使われた。送れる信号はチャンネルよ一つ進めという程度で途中の寄り道があった。
おまけに、キーの束をチャラチャラ振るとその雑音に反応してチャンネルが予期せぬ時に突
然かわってしまうこともあった。もう一つリモコンの到達距離の問題があった。距離が長くなる
と信号が弱くなって切り替えができなくなる。実用的なリモコンを作ろうと検討を始めた。しか
し、いざ検討を始めると色々な問題が出てきた。結局超音波という媒体を使う限り民生品とし
て使える程度に安価なリモコンはできないと判断してその仕事は中止となった。本質的な問
題とは雑音と信号をどのようにして見分けるかであった。本物と偽物を見分ける問題はどん
な分野にもある本質的な問題である。民生用ではこれが十分安価に実現できる必要があ
る。媒体が超音波から赤外線に代わり、チューナーが機械式から電子式に代わってようやく
実用的なリモコン時代が到来した。