2009/6/7
変貌した半導体工場
自分が手作りの自動測定器を半導体組立工場に導入した頃は半導体工場は活気に満ちて
いた。官営の富岡製糸工場で女工さんが働いている写真を見るとその工場の当時の雰囲気
が偲ばれる。その時代の先端産業の労働の現場の姿がそこにある。富岡製糸工場が稼働
していた明治時代から一世紀余を経た昭和の時代は半導体工場で大勢の若い女工さんが
働いていた時代でもあった。自分がそのような工場に行ったのは、測定器の校正、修理、歩
留まり調査等の目的のためで、極限られた機会であった。しかし、そこで白衣を着て、てきぱ
きと仕事に励む女工さんの姿をみるとまさに天国と錯覚するようでさえあった。更に、その十
数年後、当時の仕事からは離れたが、何かの機会に工場を訪れた時は、工場は静まり返
り、十数台の測定器を管理する係りの男性が、工場内を巡回しているだけであった。あの白
衣の女工さん達はどこへいったのか。それから更に十数年後、工場自体が海外に出ていっ
た。これは、あの富岡製糸工場が辿ってきた歴史と同じ事なのだろうか。ともかく、富岡製糸
工場で働いた女工さん、半導体工場で働いた女工さんも当時の最先端の技術を学び、誇り
をもって自分の仕事に従事したことであろう。日本の最先端の産業もこのような女工さんの
働きに支えられていた事を忘れてはならないであろう。