2009/6/10
桑の実で思い出すこと
養蚕地帯で幼少期を過ごした人にとっては桑の実をとって食べたことが記憶に残っているだ
ろう。とって食べるのが遊びであり、おやつでもあった。鮮明に記憶に残っているという事は
遊びの部分が多くを占めているためなのだろうか。特別なおやつといえば母がミソをつけた
おむすびを作ってくれた程度であろう。ともかく、桑の実をとって食べることにより親からも先
生からも指示されることが無く自由勝手にできるスリルと面白さを体験出来たと思う。時に
は、ウリやトマトを畑から失敬する輩もいた。これは明らかに農作物であり、子供にも罪の
意識が生じた。しかし、農家のおやじにコラーと追いかけられるスリルを予期しつつ及ぶとい
う節もあった。当時はこういうきわどい遊びも大目にみる雰囲気があった。農家のおやじもう
ちのせがれもどこかで同じ様な事をしているかも知れないと思うとお互い様という気持ちもあ
ったかもしれない。見て見ぬふりをするより教育のために一発叱ってやるかと思ってそうした
のかもしれない。その点、桑の実をとって食べられる分にはほとんど実害が無いので子供達
は安心して桑の実を食べられた。そんな、桑の実も最早食べられない。もう一度食べてみた
いと思い、マルベリーの苗を数種類購入して、今年はかなり実を付けている。当然の事では
あるが、果実の香りは桑の香りと重なり、養蚕の手伝いの記憶に引き込まれてしまった。数
個食べてみた。完熟ではないので何とも言いようがない。その後は鳥の楽園になっている。
果樹としてはまだまだ改良の余地はある。六月に熟するので端境期の果樹として利用できれ
ば面白いであろう。