2009/6/22
半田付け点数の削減
真空管テレビが生産されていた初期は半田付けも工場のラインで工員が手作業で行ってい
た。部品も少なく、比較的大きいので手作業が可能であった。立体配線のようなシャーシから
プリント基板のシャーシになることにより生産性も向上した。初期のテレビ用集積回路の開発
では部品点数と半田付け点数の削減が集積化の一つの尺度になった。これはコストダウン
に直結していた。その後の開発は、多くのチップに分散されて集積化されたICを統合してチッ
プ数を削減する方向に向かった。技術の歴史を振り返るとその基本はほとんど変わらないが
その手段と方法がその時可能で最も経済的な物に変わって行く事に気づく。今日の自動車も
車輪という基本構造から解放される兆しはない。素子と素子をつなぐ配線は接点は電子機器
から消えていない。自分が初めて半田ごてを使って組み立てたゲルマラジオも自分の上司が
初めて開発したVIF-ICも10素子前後で規模は極小さなものであった。自分がVIF-ICを開発
していた頃は数百素子から千素子程度であった。もうこれ以上の高集積化は無理だろうと皆
思った。しかし、微細化の進展で更に一桁程度の集積度向上が達成されているようだ。とも
かく、規模が大きくなってチームワークで対応せざるを得ない開発も最初の一歩は一人の手
作業の範囲から始まっている事に感慨を覚える。