2009/7/20
れんげ花
幼少時に兎を飼っていた。その餌をとるためかごをもって田んぼに行くのが仕事であった。
菜の花畑の片隅にれんげの花が咲いていた。確かに余り目立つ花ではないが、なんとなく存
在感があった。田んぼに咲く赤紫色の花はれんげ以外に余り無いようだ。ほとけのざという
花があるが、この花は雑草を連想してしまう。れんげには雑草という印象がない。やはり野に
置け レンゲ草という言葉があるが、野原に自然に咲いているところにけなげな美しさがある
のかもしれない。もう十数年以上前に水田の休耕作物としてれんげの種をまいた事があっ
た。かって見たれんげの花が田んぼ一杯に咲いたら楽しいだろうと思った。広い田に種を播
くには何㎏という量の種子が必要になる。これを種苗会社から取り寄せた。秋に種を播いた
が発芽するか心配であった。近所の人がトラクターで鎮圧してくれた。春になって雑草の間に
れんげの芽が出てきたが、結局一面がれんげの花で埋まるような出来具合にはならなっか
った。土地改良をした田んぼには暗渠も設置されており秋冬春の間の田んぼはかなり乾燥し
ていたようだ。思えば、当時すでに田んぼのれんげの花は見ていなかった。れんげが生育す
るにはある程度しめった土壌が必要だったのであろうか。れんげの種を播いた結果には落
胆したが、かって田んぼに咲いていたれんげの花の記憶は消えない。