2009/9/26
ハードルの高さ
大学時代から、科学史や技術史に関心を持った。科学や技術の領域でもある出来事、発
明・発見等が為される場合、その時代の必然性があるように感じる。電子技術も、真空管や
トランジスタの発明も、それに先行する真空中の現象、固体中の現象を解明する科学や技
術が基礎となっている。当然、そのような現象を合理的に説明するには仮説を立てることが
有効な手段となる。大学では余り人気があったようではなかったが、一般教養で科学史の講
義を受けたように思う。その中で仮説という概念に触れたのではないかと思う。ある人から、
その人の友人が、ある作物を誰もが予想しない冬に栽培して、営業的にも成功したという話
を聞いた事があった。しかし、テレビに出演してその種を明かしてしまった。そうしたら、直ぐ
にライバルが多数出現して、翌年には過当競争に陥ってしまった。頭がイイのと商売は別だ
よという落ちが付いていた。確かに、だれもやらなかった事をやるためには仮説をたて、実験
をして、実用化の筋道を立てたのだろうと思う。本当に新規で実用性が大きな発明は特許や
実用新案で発明者の権利を守る事ができる。種苗についても特許と同じ様な制度がある。そ
のような制度に該当しないノウハウもある。ともかく、自分の努力を無駄にしないためにはそ
れを自分で守らなければならない。低いハードルでも、それを何段にも重ねる事により、簡単
に乗り越えられない高いハードルにする事が出来る。老舗が生き残っているのは、ハードとソ
フトの技術の積み重ねという財産に守られているからであろう。技術としては本質的ではな
く、本にすると抜け落ちるような小さなノウハウがいたる所にある。従って、本を読んだだけで
うまく行く場合は少ない。何事も本当に成功するためには試行錯誤して身につけたノウハウ
が必要なようだ。