2009/10/15
松下幸之助
松下電器産業株式会社は2008年10月1日をもって社名を『パナソニック株式会社(英称
Panasonic Corporation)』に変更した。これで、創業家の松下が社名から外れた。松下幸之
助の創業が1917年(大正6年)6月 であり、最初の事業が電球用ソケットの製造販売であっ
た。振り返ると、家電の基礎の一つがが照明、電灯にあるようである。最近、家電量販店に
行ってみると、照明関係の商品はパナソニックが独占の状況であった。社名から松下が消え
るまで約90年間、見方を変えれば松下幸之助の思想が直接的に生きてきた期間であろう。
戦前に一時、軍事産業に参入したようだが、松下幸之助は一貫して商人に徹してきたように
思われる。色々な書物で紹介されたりしたので、松下幸之助の逸話や業績は広く知られてい
ると思う。ユニークなのは松下政経塾であり、塾の卒業生も最近では各界で活躍しているの
を見る。また、松下幸之助の経営理念に水道哲学と呼ばれるものがあり、生活の基礎となる
物資を水道の水の如く安価に豊富に供給するのが産業人の使命であるとするものであっ
た。大量生産・大量消費は二十世紀文明の特長であったのは事実である。このため価格の
低下も進んだが、体力のない生産企業は淘汰され、数社から十数社の巨大メーカーのみが
生き残る結果になったのも事実である。人生の大半を家電業界に置くとなかなか客観的に物
事を見る事ができない。会社が大きくなると事業全体を見渡すことさえ難しくなる。松下電器
産業がコンピュータ事業に本格参入しなかった事も記憶に残る。かつての主要コンピュータメ
ーカーの現在の姿を見るとそれが正解であったとも考えられる。最終的な経営判断は経営
哲学に影響を受けるのは当然なのであろう。