2009/11/17
柱時計
チクタク、チクタク、ボーン、ボーン。柱時計の記憶は年輩者の誰にもあるであろう。自分も我
が家の柱時計のゼンマイ巻きの当番をした事がある。所が、そのゼンマイの固定部分のビ
スが緩んで、ゼンマイが巻けないようになりその時計が引退した。捨てるのは忍びないので
どこかに保管してあると思う。ゼンマイの代わりに電磁石でエネルギーを供給する電気時計
への改造記事を何かの雑誌で見た記憶もある。柱時計の身代わりに何がなったかはっきり
覚えていない。多分、ゼンマイ式の目覚まし時計であったろう。これは分解して壊した記憶が
ある。その次の時計は電気時計であったと思う。家庭に来ている交流の周波数を計測して時
刻表示をさせた物である。モーター式と電子式があったようだ。電子式は専用集積回路があ
り、ロングセラーICでもあった。時計の精度は電力会社の提供する交流の周波数精度で制
限される。水晶の圧電効果を使用したクォーツ時計の出現で時計の精度は大幅に向上し
た。1958年にセイコーがクォーツを使った放送局用時計の商品化に成功し、これを小型化し
たクォーツ時計が1964年の東京オリンピックのマラソンの走行タイムの計測に使われたとの
事である。クォーツ時計の普及が進んだのは東京オリンピック以降となろう。今日ではそのク
ォーツ時計が1000円程度で買える日用品になってしまった。更に実用上ほとんど誤差のな
い電波時計もクォーツクロック並になりつつある。電波時計用の集積回路は一種のラジオ受
信機である。その動作が極微量の電流で可能になっているのも驚異である。自分がテレビ以
外の集積回路の分野に転進したのが腕時計にラジオを詰め込むようなアプリケーションの仕
事であった。そうして、現役を離れて退職前に電波時計用の集積回路の販売のサポートの
仕事に従事した。今日でもパソコンにはリアルタイムクロックという時計用の集積回路が搭載
されている。ところが、この時計の精度は余り良くない。インターネット経由で標準時刻に合
わせる事は可能であるが、パソコンのリアルタイムクロックの代わりに電波時計用ICは使え
ないかと置きみやげをしてきた。余り正確すぎるとファイルのタイムスタンプ等が気になり出
す心配も生じるかもしれない。