2009/12/10
解析概論
Amazonのレビューに「代数学の泰斗であった高木貞治先生がなぜ解析概論を書いたの
か。長い間の疑問でしたが、岩波文庫の『数学小景』の弥永昌吉先生の解説で氷解しまし
た。高木先生は東大在職最後の数年、初年級の解析を担当しておられたのです。本書はそ
の講義録です。」とあった。大学の専門課程に移って、電気工学には数学が必要だろうか
ら、数学の基礎的な事を勉強しようと仲間が集まって輪講を始めた。かなり厚く大部の本で
あり、どこまで読み進んだのか今では全く覚えていない。ともかく、当時はこういう難解な数学
書もかじってみようという若さがあった。応用数学教室の若い助手の先生に講師をお願いし
て、夏にはグループで山歩きもしたのは楽しい思い出である。当時電磁波理論の勉強にはス
トラットン著の「Electromagnetic Theory」を原書で読むべきだという情報があった。しかし、
洋書は高価でそれにお目に掛かった記憶はない。おそらく、海賊版かそのコピーが出回って
いたのではないかと思う。マックスウェルの電磁方程式は立てる時には梯子があったが、そ
れを世に出したときはその梯子を取り払ってあると教授が話されたように記憶している。その
方程式は確かに芸術作品のように整っているが容易に凡人を近づけてくれなかった。ともか
く、難解な書物も少しづつかみ砕けば幾らかは理解できるだろう。そのためには若さと時間
が必要だ。