小学生雑誌の休刊
少年頃どのような雑誌を購読していたか記憶がない。しかし、雑誌の付録で遊んだりした記
憶はあるので何かの学習雑誌を購読していたのではないかと思う。幼稚園頃のキンダーブッ
クは覚えていた。これは昭和2年(1927)日本初の保育絵本として創刊された超長寿命の絵
本雑誌である。2009/12/8NHK第一で小学生雑誌休刊の背景等を報じていた。10月に小学
館の「小学五年生」「小学六年生」今年度末での休刊が発表され、それに続いて、学研ホー
ルディングス(東京都品川区)の看板ともいえる小学生向け学年別学習雑誌「科学」と「学習」
が今年度末で休刊となると発表された。総合雑誌の凋落と同じ軌跡の上にある現象のよう
でもある。ともかく、今日では情報が多すぎて、それを求める読者の関心も分散している。従
って、出版側も読者を掴む為には専門化する以外になくなるようである。読者としては美味し
いところだけ、安く味わえればよいという事であろう。
「雑誌業界を支えてきた1つのビジネスモデルが終わった。」とTmedia/「Business Media 誠」
の解説記事が以下のように伝えていた。その要因は、①学研の平成21年9月期決算による
と、家庭訪問販売事業の売上高は約10億6000万円で、売上高全体の3%程度。②少子化
や共働きの増加による在宅率の低下。③子どもの価値観の変化。④学年別総合雑誌が時
代のニーズに合わなくなった」。⑤早期教育の流れを受けた就学前児童に対する通信教育
などの隆盛が、未来の学年誌購読層を囲い込み、同社のシェアを奪った。⑥21年9月期の
教室・塾事業の売上高は98億円にのぼり、家庭訪問販売事業をはるかに上回る。⑦学年誌
の直販はかなり以前から、すでにメインビジネスではなくなっていた。
出版業も情報を加工して売るという産業とみれば、市場の構造とニーズが変わってしまった
と言うことであろう。しかし、教室・塾事業が伸びているという事は単なる物販からより付加価
値の高いサービス業への転換とも見られる。ともかく教材を売った後はあなたが自力でそれ
を活用しなさいというのが従来モデルであるならば、教材、興味、学習まであなた任せのビジ
ネスモデルは至極便利で快適かもしれない。一般教育は将来への保険のような性格もあろ
う。同じ金をかけるならば、将来より目先が大切だというのが親の実利感覚かもしれない。前
記のNHK番組で、子供達の声も流れた。子供達は小さな大人のようでもあった。大人のコピ
ーのようなでおそるべき一面も持っている。学校も塾も習い事も皆遊びだと割り切れればよ
いのかもしれないが。