2010/2/7
肥満の亡霊
丸裸ふるえて計るダイエット。人間が飢餓から解放されて、肥満が諸悪の根元と見なされる
ようになったのはつい最近の事のようだ。ルネッサンス頃の絵画には豊満な女性像が目立
つが、それが現実であったのか理想であったのか。最近の人間ドックでは復囲の測定が加
わり、そういう時代になったのかとあらためて感じた。昔も、ベルトの穴が一つ広がると寿命
が一年縮む等言われていたことがあったと思う。十数年前に革のベルトを新調してもらった。
幸いそのベルトは今も健在で、当時の復囲を記憶している。それを見ると復囲は縮減してい
る。当然身長も縮減している。しかし、現在の身長は何となく容認しがたいのである。BMIを
計算する時も縮む前の値を使っているので、結果としては良い値が出ていたと思う。ここ数
年、規則的に体重計に乗ってデータをとった。0.1kgまで測定できるデジタル式の体重計で
ある。ともかく、食事と体重の傾向をつかめたので、最近は気が向いたときに測定する程度
である。肥満と寿命の関係では、明らかにやせている人より、少し太り気味の人の方が寿命
が長いという傾向があるようだ。ちょい太が良いという言葉も時々耳にする。数値が一人歩き
すると、個々の個人の特殊性が無視されてしまう。疫学的な調査・研究も進められているの
で肥満と寿命の関係も、今後は更に解明されるかもしれない。しかし、統計データに一喜一
憂するよりも、自分の地道な健康管理が何よりも有効なのだろう。それが、肥満という亡霊に
悩まされない唯一の処方なのかもしれない。