2010/3/22
ひいぼり
つれずれに書く。記憶から消えそうな記憶。極幼少の頃、父がひいぼりに連れていってくれ
た。ひいぼりとは夜間の魚突き。カンテラとヤスが必要になる。実際にやった記憶はないとか
つて書いた。その時の光景は、自分は田んぼの畦にぽかんと一人で立っている。父が田ん
ぼに入って左手にカンテラを下げて、右手にヤスを構えているという静止画に近い記憶しか
ない。何回も行った記憶もない。年齢を考えると、戦争から復員して、ようやく父も幼い頃を思
い出すゆとりができて、子供の頃にした、魚突きの遊びをしたくなったのではないか。おそらく
ヤスも手作りだったと推測する。カンテラも空き缶に灯油を入れてひもで垂らした程度のもの
だったと思う。自分より、1~2回り年輩の人はひいぼりをしたかもしれない。そんな、昔話を
聞く機会もほとんどない。カンテラは照明の他に一種の集魚灯の役割をするのかも知れな
い。時期は田んぼに水があり、稲がそこそこ大きくなった頃であったようだ。何をどれだけ捕
ったかもまるで記憶にない。ひょっとすると、昼間にこのような魚捕りの遊びをするのも気が
引けて、夕闇にまぎれて、子供の遊びにかこつけて連れていったのかも知れない。ともかく、
父親が遊んでくれたという確かな記憶ではある。今、その記憶があるのは自分だけなのであ
る。追記。これもつれづれなるまま。書いてからほぼ一月経た。ヤスの事で木綿針を思い出
した。自分もヤスを手作りしたか、しようと思っていたようだ。木綿針を数本棒の先に立てた
ようなかすかな記憶がある。それもはっきりしないのだが。気になったのがひいぼりという言
葉。辞書にもない。インターネット検索にもかからない。同じ漁法でひぼり、夜ぼりというのは
あった。<ぼり>という言葉が何か漁法に関係しているようだ。