雑草句録:香り

2011/1/21
大寒が過ぎた。何とか寒さの底を脱したのかも。しかし、日本自体が冷え切って元気がないのが気になる。最近、近くの大工さんに年季奉公の事を聞いた。もう二三回目かもしれない。昔の話を聞けるときに聞いておこうと思っている。親も大工の棟梁で5~6人の大工を使っていたが、隣村の大工の元に6年間の年期奉公に出された、冬は暗い内に家を出た。奉公先では一番位が低いので、先輩の身の回りの仕事もさせられたとの事。ポケットは縫い合わせられてポケットに手を入れることは許されなかったとの事。ともかく、飯だけはもらって食えた。技術は教えてくれない。自分で盗まねばならない。そんな話であった。失業者が溢れている現在のニッポンを思うと、年期奉公というシステムにも興味が湧く。ここには何かお金だけでは成り立たない不合理かも知れないが、それを超えた何かがあるように感じる。人材鍛造システム。人材はたたきあげて造れということか。人材教育システム的に収支を見ると親方の持ち出しになりそうだ。しかし、同じシステムで親方になった以上優秀な大工を作ってやろうという気持になる。優秀な大工を育てれば自然に親方の評価も上がる。気の長いシステムだ。上に立つ人物の職業倫理と言えようか。現代では職業倫理も死語に近いのでは。幾ら努力をしてもそれが評価されなければ、人事に冷風が吹く。

昨日の天気

TAVE= 2.5
TMAX= 8.1
TMIN= -1.5
DIFF= 9.6
WMAX= 8
SUNS= 5.8
RAIN= 0

以下本題。

雑草句録:香り

■ロウバイの香りかげどもハナがばか

これも花粉症の一症状。

○梅が香に追ひもどさるる寒さかな     芭蕉

Google検索:約 4,630 件。芭蕉の句には蝋梅は登場していないようだ。香りに関しても句数は少ない。嗅覚の人ではないようだ。当時、蝋梅があったのか。WIKIPEDIAによれば唐の国からきたとの事で歴史は古いようだ。香りが強すぎるのは嫌われたのか。その点、梅は日本に良くとけ込んだようだ。しかし、元々は外来種。追ひもどさるるとは芭蕉自身か。寒さが梅が咲き始める頃まで戻ってしまったようだ。

■子鼠や列なし咲けり猫柳

ネコヤナギの花芽はふっくらとした毛に覆われて梅より早く動き出す。その姿が子鼠のようであるが、猫柳とはどういう因縁があるのか。鼠と猫で遊んでしまった。