2011/3/13
環境雑録:巨大地震による原子力発電所の事故
東北地方太平洋沖地震の翌朝、庭の石灯籠が倒れていると声がかかった。灯籠の各段は特に固定されておらず、単に積み上げたあっただけだが、今まで無事に立っていた。ところが、今回の地震では無惨にも、完全にバラバラになり、倒れていた。重心が高いところにあり、地震のゆれで足をすくわれたようだ。県内でも類似の被害はあったと思う。この巨大地震の全容が明らかになりつつあるにつけて、文明社会のもろさを痛感する。
特に原子力発電と巨大地震の関係が心配になった。3/12午前、首相は東京電力福島原子力発電所を視察した。その後になって、炉心の冷却水の水位が低下し、放射能を含んだ物質が排出される危険があるとして、福島第一原子力発電所周辺半径10Km以内の住民の避難命令が出された。更に、それに続いて爆発が起こり、建屋の外壁が飛散したのを受けて避難命令は半径20Km以内に拡大された。爆発の原因は発生した水素と空中の酸素が反応した事とされている。原子炉格納容器は破損していないと説明されているが、核分裂物質が検出されている事も発表している。現在、異例の海水注入と中性子を減速させて核反応の進行を抑えるホウ素を使用した対策が採られている。この対策がうまくゆく事を願うばかりだ。今回の福島第一原子力発電所の事故はJCOの臨界事故と同じレベルの4(最高レベルは7だったと思う)であると朝のNHKラジオニュースが伝えた。
JCOの臨界事故については、2010/8/24のブログに書いた。
http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2010/08/post-af04.html
振り返ってみると、この臨界事故では死者二名と数百名の被爆者を出している。放射能事故は直接眼に見えない上に、被爆すると長期間にわたり後遺症の心配が残る。今回の避難命令もJCOの臨界事故という悪夢のような前例が背景にあったのか。ともかく、原子炉を安全に保つ冷却装置は原子炉設計と運用の最も基本の部分だろう。JCOの臨界事故の後だったか、原子炉建設にはトラック数台分ほどの設計資料があるという話を聞いた事がある。デザインレビュー等でその資料を綿密に検討して来ているとは信じるが、どこかにその間隙をすりぬけた不適合があったのか。JCOの臨界事故の場合も操作マニュアルはあったが、現場はそのマニュアルに従っていなかったような不適合があったと記憶している。再発防止云々が問われると思うが、原爆の歌と同じように三度許すまじという覚悟で臨んでいただきたいという気持を誰でも持つであろう。特に原発を持つ自治体やその住民は今回の事態を深刻に受け取っていると思う。