読みかじりの記:「植物のたどってきた道 化石が語る<緑>の過去」 西田治文 著 (1998年 二本放送出版協会)

2011/12/9
昨日は曇り。夜雨があったようだ。風邪の症状は少し軽くなった。「植物のたどってきた道」を少しずつ拾い読み。動物と植物を別物と見たら面白さは半減するだろう。植物あっての動物。専門的なところは読み飛ばし。脱線部分だけでも参考になる。

2011/12/8の天気

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読みかじりの記:「植物のたどってきた道 化石が語る<緑>の過去」 西田治文 著 (1998年 日本二本放送出版協会)

生物は大まかには動物と植物に分類される。生物分類学にも色々説があるようだ。20~21世紀の科学の発展で学問の境界も薄れてきたようだ。本書は学問分類から言えば植物学に入るようだ。植物化石も、発掘、収集の段階から、植物進化のプロセス、疑問や謎に迫るとまた別の面白さがある。著者が読者に伝えたかったのも自分の研究のテーマとそれにかかわるエピソードだったようだ。更に、環境問題や生物の多様性の意義を述べている。

歴史を語るにも時間のスケールが無ければ面白くない。WIKIPEDIAによれば宇宙の年齢は、「最近の観測によると(137.2±1.2)億年であるとされる[1]」。WIKIPEDIA「地球史年表=http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E5%8F%B2%E5%B9%B4%E8%A1%A8#.E5.9C.B0.E7.90.83.E8.AA.95.E7.94.9F_.E3.80.9C_.E7.94.9F.E5.91.BD.E8.AA.95.E7.94.9F」によれば、「46億年前 - 地球誕生。」、「44億年前 - 現在、知られている最古の岩石鉱物が現れる。」、「40億年前 - 原始海洋ができた。花崗岩(カナダ北部のアカスタ片麻岩)ができた。プレートができた[8][9]。」、「40億年前(±2億年) - この頃、原始生命が誕生したと考えられている。 → 生命の起源」。

生命の起源にはいまだ多くの謎がある。その謎を人類も、自分も背負っている訳だ。本当の歴史を知りたくなるのは、あたかもその謎がすべて解けているという言説が信用できないという現実的な謎があるからかも知れない。人間も自然の産物なのだ。宇宙を作ったのは誰だ。宇宙はナゼできたのだ。そんな疑問・質問が出来るのも人類が知能を発達させたからだろう。

植物と動物の類似性を思うとき、いつも驚嘆する事がある。本書でも植物の<緑>を随所で語っている。この緑の元がクロロフィルという色素である。葉で集めた太陽光と根から吸い上げた水を分解して酸素を出す働きをする。そのとき太陽エネルギーはATPという物質に取り込まれ、糖分等が合成される。植物栽培で、水と太陽が不可欠であることをこの光合成の原理が余すことなく示している。

一方、動物では酸素の運び屋であるヘモグロビンが重要な位置を占めている。ヘモグロビンは動物を象徴する赤い色を現す色素でもある。動物が呼吸で使う酸素は、何と光合成で出来た廃棄物ではないか。動物の生命維持も、植物体またはその生成物も植物あて始めて可能になる。驚嘆する事はクロロフィル分子とヘモグロビン分子の構造式が非常に似ていること。ともかく、動物も植物も自然界からクロロフィル分子とヘモグロビン分子合成するのだが、その物質を作るプログラムは非常に似ているのではないかと思うのだ。動物も植物も結局、地球上に現れた最初の生命DNAから派生しているのか。

今日、地球温暖化は全世界の悩みの種になっている。生命が海から地上に上がってきてから、空中の炭酸ガス濃度が非常に高かった時期の事を本書でも述べている。植物にとっては温暖で成長も盛んであったが、植物体を分解するシステムが能力を超えて、蓄積したのが石炭等である。いわば、植物は濃すぎる空中の炭酸ガスを薄めそれを地中に固定して今日の地球環境を実現してきた。そのような地球規模の資源を人類はここ百年程度で破壊し尽くそうとしている。そのような、文明上の問題を、「愚かにも多量の核物質を飛散させてしまった場合には、~」と警告している。人類の歴史は高々数百万年、それに対して植物は4億年の年輪を刻んでいる。

生物の繁栄は数と量を増やすこと。数を増やすのは生殖システム、量を増やすのは構造システム。本書では花や種子に到る進化を述べている。構造に関しては維管束について述べている。今まで、古植物学の本は余りなかったようだが、恐竜等を考えるにも古植物学は不可欠だろう。それよりも、人類の来し方、行く末を考えるためには、物事の一面だけを見てはいけないという事も本書から読みとれるとおもう。人類の文明も高々数千年から数万年前に芽生えたに過ぎない。著者は人類が滅んでも、その後に繁栄する生物まで滅ぶまいと見るが、そんな馬鹿なことはするなと叫んでいるようでもある。今日の地球上の生物の全てが死屍累々の進化の歴史をくぐり抜けてきている。そう思うと、一本の雑草さえ引き抜くのが惜しくなる。

COP17の行方が気になった。以下はGoogleのリンク:「【主張】 COP17と日本 議定書の延長拒否は当然:MSN産経ニュース - 5 時間前:MSN産経ニュース - ?5 時間前?
南アフリカのダーバンで開かれている国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)が大詰めを迎えている。 各国の利害が激しく対立する中で、地球温暖化問題解決へのまっとうな取り組みを続ける日本の姿勢は評価されてしかるべきだが、旗色は必ずしも芳しく ... 」⇒「ページが見つかりません:http://sankei.jp.msn.com/world/news/111209/erp11120903270000-n1.htm」。このニュースは削除されたのか。一体、日本の環境政策は世界の視線に耐えられるのか。

サンケイニュースは、「細野環境相演説に批判相次ぐ;url=http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111208/plc11120808160007-n1.htm(2011.12.8 08:15)」というタイトルで、「 【ダーバン(南アフリカ)=小雲規生】国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)で7日、京都議定書の延長に応じない立場を表明した細野豪志環境相は、議定書に代わる枠組みづくりに向けた作業部会設置を求めた。ただ、発展途上国からは「議定書を葬るな」との声も上がった。 細野環境相は将来的な法的拘束力のある枠組みについて、「2020(平成32)年を待たずにできるだけ早急に成立させる必要がある」と強調。そのための議論の場として、COP17で「新たな作業部会を設立すべきだ」と求めた。 日本と同様に議定書延長を拒否するカナダのケント環境相も、「われわれにとって、『京都』は過去のものだ」と発言した。」と報じた。

YOMIURI ONLINEは、「京都議定書、延長ムード高まる…COP17;url=http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20111208-OYT1T00976.htm(2011年12月9日01時09分)」というタイトルで、「 【ダーバン(南アフリカ)=吉永亜希子、中西賢司】南アフリカで開催中の国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)で、米国代表団のトッド・スターン気候変動担当特使は8日、「新しい枠組み作りに向けた欧州連合(EU)の行程表を支持する」と、記者会見を開いて明らかにした。 世界2位の温室効果ガス排出国の米国がEUに賛同する姿勢を明確にしたことで、2013年以降は京都議定書を延長し、20年頃を目標に主要排出国が参加する新枠組みを作ることに合意する可能性が高まった。 スターン特使は、「米国は新しい枠組み作りに反対しているわけではない」と述べ、COP17で消極的だと批判されていることに対して強く反論した。その上で、「法的な削減義務を負うかどうかは関係なく、将来の枠組みについてのEUの行程表を支持し、前進させるために強く関与していく」と強調した。」と報じた。

日本は、COP16の枠組みに加わらないアメリカに同調した姿勢を示したのだろうか。

「二酸化炭素25%削減;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E9%85%B8%E5%8C%96%E7%82%AD%E7%B4%A025%25%E5%89%8A%E6%B8%9B;(最終更新 2011年9月23日 (金) 10:43)」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。の記事に「二酸化炭素25%削減(にさんかたんそ25%さくげん)とは、日本の民主党の環境政策であり、二酸化炭素を2020年までに1990年比で25%、2005年比で33.3%削減して地球温暖化を防ごうというものである。これは1970年代における二酸化炭素排出量にあたる。」とある。鳩山首相が2009年9月22日、国連気候変動サミットで演説し、「温室効果ガス主要排出国の枠組みへの参加を条件に、2020年までに1990年比で25%の温室効果ガス削減を目指す“世界公約”を表明した。」というニュースも耳に残る。

asahi.comは、「「京都」を殺すな COP17、議定書延長求める途上国;url=http://www.asahi.com/international/update/1202/TKY201112020244.html(    2011年12月2日14時24分)」というタイトルで、「「京都」を殺すな――。南アフリカ共和国で開かれている気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)で、2012年末で期限切れとなる京都議定書の「延長」を求める途上国の声が強まる一方だ。190を超す批准国中、13年以降は新たな温室効果ガスの削減義務を負わないと断言しているのは日本、カナダ、ロシアの3カ国。日本は苦しい立場に立たされている。 「アフリカの大地を『京都』の墓場にはさせない」 会議冒頭で、コンゴ(旧ザイール)の交渉官がこう繰り返すと、大きな拍手がわき起こった。日本を名指しこそしないが、「いくつかの先進国が延長を拒んでいる」との批判が渦巻く。 海面上昇の影響を受ける島国グループなども相次いで発言。削減義務を先進国に課す「京都体制」の延長を強く求めた。欧州連合(EU)が条件つきで延長を受け入れる姿勢を打ち出したことも途上国の期待を高めている。 日本が目指すのは、京都議定書で削減義務を負っていない世界一の排出国・中国や、議定書を批准していない米国も含む新体制だ。「京都体制」は不公平で効果も乏しいとして、議定書の枠組みには残るが、削減義務の延長には「サインしない」との姿勢だ。 日本などが延長を拒否した場合、国際的な排出量取引市場から閉め出そうという意見も一部から出てきた。京都議定書には、途上国で削減したガスの排出枠を自国の削減量に充てるクリーン開発メカニズム(CDM)など、資金、技術支援の仕組みもある。ベネズエラの交渉官は「削減義務を負わなければCDMは何の意味もなさない。延長しなければ利用は認めない」と力を込めた。 COP17に参加している日本の環境NGOメンバーは「風当たりは相当強い。会場の雰囲気が政府首脳にきちんと伝わっているのか疑問だ」と話している。 日本は「世界低炭素成長ビジョン」として、13年以降のCDMの活用を掲げる。細野豪志環境相は2日の会見で「CDMは途上国にもメリットがあると理解してもらいたい」と述べた。(ダーバン=小林哲) 」と報じた。

一体、日本の環境政策の一貫性はどうなっているのか。緑の地球に国境線が出来たのは、生物の歴史から見れば、その最後の一瞬に過ぎない。植物のみどりが、地球を覆い始めたのは数億年も前からなのだ。生物多様性、地球の温暖化、放射性物質の環境への放出、これらはあまねく環境問題なのだ。アメリカの尻馬に乗るつもりだったのか知らないが、尻馬から落馬するようではその感覚が疑われる。日本の環境政策が世界で支持を受ける事がなければ、日本の原子力政策も世界の支持を受けられないのは明らかだ。環境へ放出した放射性物質は完全に無害化できず、その半減期で減るのを待つ以外の現実的かつ有効な方法はない。東京電力福島原発事故による放射能汚染水を海洋投棄する計画も再度浮上している。濃度が薄ければ流して良いというのは島国日本の妄想ではないか。これが、多くの国の国境が重なる欧州で通用しないことは明らかだ。EUが、日本抜きでもCOP16の枠組み維持を鮮明にしたのも、それなりの作戦だろうが、日本が環境問題に対する世界の流れを読み違えるほどならば、世界のなかの日本はどうなるのだろうか。

本書は盛りだくさんの内容があり、読者のターゲットもはっきりしない。願わくば、恐竜に興味を覚える青少年向きの一冊も書いていただきたい。更に賞味期限一年以下の閣僚向けの参考書があればベストだ。