2011/12/28
昨日は晴れ。寒い日が続いている。稲荷様への通路整理。ようやく開通した。午後は用事外出。買い物。
2011/12/27の天気
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読みかじりの記:「プロ弁護士の思考術」 矢部正秋 著 (2007年 PHP研究所)
本書巻末の著者紹介によると著者はビジネス法務、国際取引法務を専門とする弁護士とある。本書は著者の長い弁護士経験を通して磨いてきた思考術を披瀝しており一般の人も生活や仕事の中で役立つ内容が多いと感じた。弁護士の仕事は紛争解決。会社生活では紛争解決で弁護士のお世話になった経験は無かたが、開発や生産にはリスクが付き物。顧客に対する迷惑は、それが高じれば紛争となり、損害賠償となり、最後には裁判になるだろう。日本ビジネス風土は出来るだけ紛争や裁判を避けるのを良しとして来た傾向はあると思う。自分が関与した製品開発でも、開発が大幅に遅れて顧客に大きな迷惑をかけた例もなきにしもあらず。しかし、その製品開発を他社がリスクを理由に受けなかった場合等は、開発の多少の遅れも想定内とい事もある。遅れた分は製品価格で対応するような事もあったように思う。
著者は日本の協議解決条項(当事者は誠意をもって協議し、円満解決をはかるものとする。)というような契約内容はお互い完全に信用がないと意味がないと述べている。著者は国際取引法務が専門だとの事だが、本書にはその具体例は少ないが、英米流の契約の説明がある。自分も開発交渉で、最初はNDAを結び、次ぎに数十ページの契約書案を出されてとまどった事がある。それも英文だ。外国のベンチャー企業の場合情報が少ないのでリスクの評価が難しい。しかし、見方に縒れば、そのような契約書は一種の、契約履行マニュアルにもなると思えた。
最悪の事態と最良な事態の間には、様々な中間状態が存在するのであり、本書は紛争解決の大局的な捉え方を本書で教えていると思われる。さらに一歩進めれば、紛争が起こらないようにする事が究極的な段階かもしれないが、そこまで来ると精神主義に傾く心配もある。しかし、紛争も局部的な解決から大局的な解決までさまざまのレベルがあり、著者は経験の年代によって、自分の見方が変わっている事を述べている。まさに、これは年の功と言えるかも知れない。いわば総合力を発揮する場面だ。紛争が常の戦場なら裁判は公開の戦場である。そのような色々な戦場を見て、そこに参戦して得た経験には貴重な物があろう。部分と全体。部分と全体の調和等々。
思考術は見方によれば、ある分野だけでなく他の分野にも共通して使える技術ではなかいか。一つのモノを設計する時に、BOTTOM UPとTOP DOWNという大まかに二つの方法がある。これは著者が巻末で述べている考える遠近法に近い技法のようでもある。物事を作るとき、何か行動を起こすとき、やはり、見える限り、考えられる限りの可能性を検討しておけば悔いも失敗も少なくなるのだろう。世の中に完全はないかも知れないが、マサマの事態は起こりうる。その最大の事態が福島原発事故。今考えると、この事故も起こるべくして起こったと思えてならない。