科学ニュースに独り言:福島原発事故調査に参加した国産ロボットのクィンスの謎

2012/4/1(日)
昨日は午前一時晴れ間、午後に雨と強風。天気予報通り春の嵐となった。葬儀。その後は宅内。自分が子供の頃は鉄腕アトムの漫画に夢中になった。自分の子供はガンダムのプラモデルで遊んでいた。両方ロボットだが、鉄腕アトムは曲線的でより人間に近い感じがする。ガンダムは直線・平面的でよりロボットらしさがあるようだ。福島原発事故で脚光を浴びたロボットだが、外観は更にメカニカルで一種のリモコン移動物体のような感じだ。その国産ロボットのには「クィンス」と名前が付けられている。調べると果樹のマルメロの事だった。マルメロの苗を買ったが実が生らずに枯らしてしまった。日本ではカリンと混同されている場合もあるようだ。カリンの果実は良い香りを放つ。日本の子供達はこの「クィンス」にどんな感じを持っているのだろうか。

2012/3/31(土)の天気

TAVE= 10.0
TMAX= 18.1 最高気温(℃)  18.2  12:02
TMIN= 3.9 最低気温(℃)  3.7  24:00
DIFF= 14.2
WMAX= 13.3 最大瞬間風速(m/s)   22.3(北西)  13:47
SUNS= 1
RAIN= 6.5

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科学ニュースに独り言:福島原発事故調査に参加した国産ロボットのクィンスの謎

昨年、東京電力福島原発事故の調査で、国産ロボットについて書いた。「老人の寝言:原発事故で日本のロボットの出番がないのはなぜかhttp://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2011/04/post-e58e.html(2011年4月21日 (木))」当時は、外国のロボットが先ず採用されたと記憶している。ロボットも人間にとっては機械に過ぎない。目的が達成できれば別にロボットでなくても良いわけだ。福島原発事故でロボットが必要になったのは、放射能や周囲環境で人間が入れない場所で、仕事ができるという条件が課せられた結果ロボットの登場となった。

最近、福島第一原子力発電所2号機のファイバースコープ調査が実施された。その結果、格納容器の底部の水位は60センチであったと報道された。「福島第一原子力発電所におけるロボットオペレータの手記 - PackBot編https://sites.google.com/site/fuku1robot/」に「ロボットチーム(作成日時 :2011/04/26 18:06 )」という記事があり、「新たな業務は探索ロボットの操縦です。 今後は国産ロボットも導入していくとか。 当面は、私を含めて三名で操作します。 タービン建屋の中は津波の被害がすざまじい。泥だらけ、しっちゃかめっちゃか。よくこの程度の被害で済んだと思うのが、正直なところです。原子炉建屋は、それほどでも無いです。 ロボットは有線でも使えますが、ケーブルが絡まるので無線で動かします。 プログラムを必要とするので、タフブックよりゴッツイPCを介しますが、コントローラーはプレステ等のゲーム機と同じです。 走行・アーム・グラップル・カメラ・ライト・その他補助装置は、切り替えて使います。」とある。ロボットの操作が、リモコン飛行機のようなものかと推測される。その記事の末尾の方に「もしかしたら、明日はファイバースコープのオペレーターを頼まれるかも知れません。 今日、流水音を私が見付けて(聞き付けて)しまったので、ファイバーで確認する必要が出てきました。200~300mのファイバーを有しており、ロボットよりも、どちらと言うとファイバーの扱いの方が得意なんですよぉ~。」とあった。ファイバースコープによる観測で、2号機の格納容器からは高濃度の放射能汚染水が漏れ出ていると判断できるので、この観測にはロボットが使われたのかと推測したが、はっきりした情報がつかめない。

asahi.comは、「救助ロボ 原発奮闘記;url=http://www.asahi.com/science/intro/TKY201203040180.html(2012年3月4日18時59分)」というタイトルで、「東京電力福島第一原発の事故で、災害救助ロボット「Quince(クインス)」が初出動した。設計時には想定していなかった原発事故現場で、建屋内の線量測定などの作業を6回こなした。開発チームの苦闘と、クインスの現場活動を紹介する。~ 東日本大震災の発生から4日後の昨年3月15日。千葉工業大未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長は、一本の電話を受けた。「クインスを、福島第一原発に提供できますか?」。東電からだった。 クインスは千葉工大、東北大などの合同チームによる純国産の災害救助ロボだ。中越地震などで積み上げた経験を基に、2010年に誕生した。カメラや各種センサーを装備。がれきの上を走り回り、階段を上り下りする能力が高く、開発段階から救助ロボの世界大会で何度も優勝している。 」と報じた。

上記の記事より、「建屋内の線量測定などの作業を6回こなした」とあるのだが、2号機の格納容器内部のファイバースコープ観測をロボットがしたのか、人間がしたのか興味がある。しかし、原発事故後、一年でようやく、格納容器内部のファイバースコープ観測が可能になったのか、既に早い時期に観測されていたのか皆目分からない。ロボットが予備的に建屋内の線量測定を測定して、人間が作業できる放射線量かチェックするパイロットの役割は果たせていると思うが、人間の機能をどこまで代行できるかが、今後の廃炉完了までの期間を決めてしまいそうだ。

産学連携ジャーナルは、「原子炉建屋投入 初の国産ロボット「Quince」生みの親 小栁栄次先生はロボコンが原点 ;url=http://sangakukan.jp/journal/journal_contents/2011/08/articles/1108-03-2/1108-03-2_article.html(2011年8月号)(著者:平尾 敏氏)」というタイトルで、「福島第一原子力発電所の事故発生から3カ月半経過した6月24日、2号機原子炉建屋に初めての国産災害対応ロボット「Quince(クインス)」が投入された。これまで米国からの助っ人ロボットが投入されたが事態は進展しなかった。ついに真打ちの日の丸ロボット登場となるが、一番肝心な、原子炉建屋内の作業でその実力を遺憾なく発揮することが期待される。 持ち込んだのは、千葉工業大学の小栁栄次教授。鉄腕アトムをつくったのがお茶の水博士だとしたら、クインスの生みの親は小栁栄次先生である。」と報じた。

この記事によると、「Quince」生みの親の小栁栄次先生は高校教師から大学の研究者へ転じた異色の研究者との事で、高校生の指導の一貫として各種ロボットコンテスト等で成果を挙げるると共に、自らもメカトロニクスの分野の研究者として新分野の開拓に従事してきたとの事だ。ロボットとしても目的を絞ることにより、その特徴が十分発揮できる。いわば、汎用性の持つ冗長度をそぎ落として、専用性という目的に絞ったロボットの開発を目標にした事から、原子炉建屋投入可能な初の国産ロボット「Quince」が誕生したようだ。新聞報道等によれば、従来の災害対応ロボットでは、原子炉建屋内と動作環境が大きく異なるので、超高湿度、超高放射線等への対応が追加されて、ようやく原子炉建屋への投入が可能になったようだ。

人型ロボットは子供達に人気がある。人造物なのでスーパーマン的な能力に惹かれると共にその心の部分もはっきりと見せてくれるからではないか。上記と同じ号に「インタビュー 小栁栄次 千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター副所長 想定」は仕様書、欠かせないオペレーターの訓練url=http://sangakukan.jp/journal/journal_contents/2011/08/articles/1108-03-1/1108-03-1_article.html」という記事があり、千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター 副所長の小栁栄次氏が登場する。そこで、同氏は「今回は、われわれの地下街用の災害対応ロボットを転用しましたが、原子炉用のロボットはもともとの設計思想が違うと思います。」と述べている。

究極の原子炉廃炉対応のロボットは、その動作環境に合わせて、設計思想から練り上げる必要があるようだ。このロボットが完成しない限り廃炉は進まないのだろうか。福島原発事故直後は破損した原子炉を水棺にするか石棺にするかとかの議論があった。それから一年後、福島原発事故で破損した原子炉は容易に手を着けがたい状況になっているようだ。原発事故対応ロボットについては、「日本原子力研究開発機構の原子力災害ロボットurl=http://www.cpdnp.jp/pdf/kawatsuma.pdf」という記事があり、ロボット開発の経過や作成時点(2011年7月12日)での教訓が述べられている。まさに災害は忘れた頃に起こり、その虚をつかれると大きな混乱が生じてしまう。ハードだけでなくソフト面も不可欠のようだ。原子炉解体から完全撤去まで期間がかかりすぎると別の問題も派生するだろう。水棺か石棺にする選択は完全になくなったのか。完全廃炉への道のりは余りにも遠すぎる。人間の一世代に相当する長さだ。その時のロボットはどんな姿をしているのか。