科学ニュースに独り言:「栽培イネの起源が判明」という快挙の後に何が来るか

2013年5月27日(月)
昨日は晴れ一時曇り。最高気温(℃) 28.9 14:40。ざっそう句:老い猫の 病を見舞う 我が娘。灌水。町内行事。無事終了。画像データ整理。小梅の実が熟してきた。ユスラウメは少し色づいている。どちらも懐かしい味がする。が、食べるのは1~2粒程度。ワードでBLOG編集してみた。LINK情報もコピペできるようだ。ワードの編集結果をBLOGエディタに張り付け、更に編集を続行すると構文が複雑すぎるとかで進まない。

2013年5月26日の天気(AMEDAS)

TAVE= 21.6
TMAX= 28 最高気温(℃) 28.9 14:40
TMIN= 16 最低気温(℃) 15.8 04:55
DIFF= 12
WMAX= 3.7 最大瞬間風速(m/s)(風向(16方位)) 8.2(南南東) 18:12
SUNS= 7.9
RAIN= 0

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科学ニュースに独り言:「栽培イネの起源が判明」という快挙の後に何が来るか

TPPで日本の米作りが岐路に立たされている。TPPに参加したときの収支の試算を政府で行ったようだが、農業は明らかに打撃を受けて生産金額の減少を余儀なくされるが、農業以外では農業の減産分を補う効果があるとしている。この試算、TPP加盟交渉入りの目的だけに為された大福帳の記述にしか見えない。その次ぎに、農業所得10年間で倍増というアドバルーンを上げたが、減少分を補って更に倍増させるるには死にものぐるいに近い努力が必要だろうが、リップサービス・絵に描いた餅に終わりそうに見える。国内産業全体のバランスを無視して農業所得だけを論じるのはナンセンスではなかろうか。

ところで、日本という国や日本人の歴史を考えるとき稲作の起源を避けて通れない。その稲作起源説も諸説があり、決定打が無かった。そんなとき、下記のような記事に出合った。日本で作られる米は、ジャポニカイネだったと思う。ジャポニカイネとインディカイネのルーツが解明されたので、論争に終止符が打たれるという事らしい。果たして、その快挙はどこまで及ぶのか。

Nature(科学雑誌:日本語版)は、「遺伝:イネゲノムの変異マップから栽培イネの起源が判明
http://www.nature.com/nature/journal/v490/n7421/abs/nature11532_ja.html?lang=ja。(Published online03 October 2012 ))」というタイトルで、「要約:作物の栽培化は長期にわたる選択の実験であり、これがヒトの文明を大きく進歩させてきた。栽培イネ( Oryza sativa L.)の栽培化は、歴史上最も重要な進歩の1つに位置付けられるが、その起源と栽培化の過程については意見が分かれており、長く論争が続いてきた。今回我々は、さまざまな地域から収集した野生イネ、ルフィポゴン( Oryza rufipogon 、栽培イネを生み出した直接の祖先種)の446系統と、栽培イネであるインディカイネとジャポニカイネの1,083系統について、ゲノム塩基配列を解読し、イネゲノムの包括的な変異マップを作成した。選択の痕跡を探索して、栽培化の過程で選択的除去(selective sweep)が起こった55の領域を同定した。この選択的除去とゲノム全域の変異パターンを綿密に解析したところ、ジャポニカイネ( Oryza sativa japonica )は初め、中国南部の珠江中流領域周辺でルフィポゴンの1集団から栽培化されたことが判明した。またインディカイネ( Oryza sativa indica )は、最初に生まれた栽培イネがその後、東南アジアや南アジアに広がるにつれ、このジャポニカイネと現地の野生イネとの交配により生じたことも明らかになった。」と報じた。

インディカイネは、日本の米が不作の時、輸入されたいわゆる外米(タイ米等)がそれに相当すると思われる。TPPで米が国際商品になると、米の産地も流通も消費地も経済原理に流されて激変する可能性がある。

一度、日本の米の生産体系が破壊されると、復旧は難しくなるだろう。日本人はジャポニカ米の方を食べられると思ったら、日本の経済力が減衰し、ジャポニカ米は日本を通り越して他国に流れて、日本はインディカ米を食わざるを得ない事態もあり得る。米どころか、ムギを主食にせざるをえなくなる事も考え得る。

国立遺伝学研究所は、「イネ遺伝子数は約32,000と推定 そのうち29,550の遺伝子の位置を決定し情報公開。http://www.nig.ac.jp/archive/347/362.html。」というタイトルで、「独立行政法人 農業生物資源研究所は、独立行政法人 産業技術総合研究所、および大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所との3機関を中心とした国際共同プロジェクトRice Annotation Project(通称RAP)で、単子葉植物であるイネのゲノム全塩基配列上に存在する29,550の遺伝子の位置を決定し、これをもとにイネの遺伝子数は約32,000個と推定しました。 この数は、かつて約50,000個とも予想された数よりも小さく、ゲノムサイズがイネの約3分の1であるシロイヌナズナ(双子葉植物)の26,000~27,000個に比べても極端に大きなものでないことを示しています。  また、イネゲノム上の遺伝子のうち28,540がタンパク質をつくる遺伝子である可能性を明らかにするとともに、それらのタンパク質の機能をコンピューターによる情報解析と専門家のデータ精査で推定した結果、19,969(およそ70%)の遺伝子の機能を説明することができました。」と報じた。

この記事によると、「イネ遺伝子数は約32,000と推定」とあるが、インディカイネとジャポニカイネは遺伝子の配列だけが違っているのか。結局、栽培イネを生み出した直接の祖先種から、栽培種のジャポニカイネが生まれ、ジャポニカイネと野生のイネの雑種からンディカイネが生まれたという系統樹ができるようだ。知りたいのは、その変化を辿って行くと唯一の原種にたどり着くのか。それとも原種は一つに絞り込めていないのか。

かつては、緑の革命が話題になった。今回の研究は中国との共同研究の成果のようだ。今後は、コメの新しい品種が続々開発されるのか。その時、遺伝子資源として、原種やそれら近縁の品種を多数保有する中国が優位に立つのか。新しい品種のが開発されたときの知的所有権はどうなるのか。コメの新品種の開発で、気が付いた時には、いつの間にか中国に先を越される事態になってしまっているようでは困りものだ。

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