2008/11/6
地域の歴史と公共事業
人生の後半にさしかかると、しきりに来し方行く末に関心がわいてくる。地域の歴史に興
味を覚えるのも、自己の存在をその歴史の中で確認しようとする希求心があるからだろう。
鮭は自分の生まれた川に遡上すると言われている。生物が生まれた時の環境を自分の生き
られる環境として記憶の深層に取り込むためかもしれない。破滅する場所に向かったら、
生物の種はそこで絶えてしまう。人間も生まれ育った環境が安全で心地よいものと思う
本能のような習性があるのだろう。昨日、地域の川の氾濫被害対策として作成する調整池
の利用・活用に関する検討会が開かれ出席させて頂いた。調整池は氾濫する河川の流水を
一時溜めて置いて徐々に放水して氾濫被害を低減させる施設である。巨視的にみると自然
の猛威を人間がうまく飼い慣らす試みである。調整池が機能するのは多雨期の夏場の年に
数回だけである。従って、本来の機能が働く必要が無い時の利用・管理が重要な課題に
なる。地域の地形が地域の歴史を育む。当地は日本に旧石器時代が存在していたと言うこ
とを初めて証明した遺跡や八角正倉の遺跡もある。このような歴史をふまえ、環境に配慮し
た、地域住民、特に子供達が安心して有効に利用できる施設作りが真剣に検討された。自
分も魚取りの出来る池、湧水の復元、子供達が稲作体験が出来る水田の設置を提案させて
頂いた。従来の計画のように決定してから住民に知らせる方式ではなく、計画の策定の中に
住民の意見を取り入れて行くという新しい公共事業方式の第一号であるとの事だ。今後、ど
のような案がまとまるか楽しみである。