青空大学

2008/11/3

青空大学

敗戦という厳粛な事実から戦後の日本は歩みだした。小学四学年の時に友達の一家がブラ

ジルに移民して行った。農家に生まれて、農業の将来と自分の進路は幼いながら気になって

いた。日本の農業も大規模経営でないと成り立たなくなるという話をラジオで聞いたことも覚

えている。ブラジル移民も広大な農地という大きな夢があったのだろう。ともかく、小学校高学

年から中学校の前半頃は進路の悩みもあまりなかった。しかし、自分の進路を具体的に決

める段になると悩み事も多くなった。父はある時、冗談に「どうだ、青空大学に入ったら」と言

った。正面から言えないが農業を継ぐ気かという問いかけであった。青空大学に入ると決め

たなら、農業高校への進学ということになる。自分が青空大学に入る気がない事を察してか

らは、青空大学の話は二度と無かった。父も学問への志はあったが、戦争と家族の状況が

それを許さなかった。今となっては父の心中を聞くこともかなわない。

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