2008/12/8
藁葺き屋根の臭い虫
自分が生まれ育ったのは築百年程度の藁葺きの家であった。間取り、様式等は養蚕地帯の
民家の典型的なものだったように思う。屋根葺き材料としては茅と藁があるがどちらであった
かはっきりしない。屋根葺きは一家のみで出来る仕事ではないので近所の人が手伝った。い
わゆる結いという習慣があったようだ。屋根葺き時期が近づくと茅を刈り集めて貯めたのだと
思う。段々良質な茅がとれなくなるとその代用で麦藁が使われてきたのであろう。当時はまだ
屋根葺き職人も健在であった。少しの雨漏りならば、部分的な修理で済むが、本格的に漏れ
始めると大変である。雨受けの容器が足りない位になり、ついに改築することになった。
藁屋根で雨漏り意外に困ったのは<臭い虫>と呼んでいた虫である。2㎝前後のムカデの
ような多足類でこれが屋根にすんでいたようだ。この虫の臭いがまた大変いやなにおいがす
る。見つけると新聞紙でつかんで捨てたりしたが、鍋にはいると鍋は全滅であった。ともかく
改築時には、この古屋の柱等は新屋の建材の一部として再利用された。