2009/1/25
試作回数チャンピョン
量産品を開発する場合、その製品が量産に耐える事が絶対条件になる。当然、納期、コスト
等も重要である。一般に量産に耐えるまで何回か試作が行われる。色々な基準が満足され
てようやく量産となる。従って、試作回数を減らして開発期間を短縮する事は重要な技術課
題である。国産の人工衛星の開発を見ると開発の難しさを理解できる。特に仕様の厳しさは
開発の成否を決める。仕様が顧客独自のものとなると更に難度は高まる。集積回路の開発
も同じ様なことがいえるだろう。数回の試作で開発が完了するのが普通であったときその数
倍の試作回数でようやく開発完了に至る例もある。Bi-CMOSという新しいプロセスを使用し
た製品開発をしたとき、不覚にも試作回数チャンピョンを達成してしまった。しかし、製品生産
のインフラとなる新しいプロセスが使えると次々に新しい製品が生産可能になる。丁度、自動
車のエンジンや車台の基幹部の開発を伴う新車開発も同じような例であろう。開発期間は遅
れに遅れてもう止めるべきというささやきが聞こえてくるとさすがに気も滅入ってしまう。会議
で量産が承認されたときは肩の荷が下りた思いであった。BiプロセスとCMOSプロセスはそ
れぞれ得意な特性をもつのでそれが一緒に使えると大きなメリットが出てくる。ともかく今とな
ると手間のかかった出来の悪い息子のような気もするが、後続の多くの製品の先頭を走って
くれたというという点では思い出深い製品であった。回りの評価も余り気にしない鈍感力と粘
りをもったチームとそれを苦虫をかむ思いで見守ってくれた上司の存在も不可欠であった。
これも、企業の体力にゆとりがあったればこそであったかもしれない。