2009/1/5
最初のフィクション
読み書きの勉強は小学校に入学してから始まった。授業の中に作文があり、鉄砲撃ちの後
について行った時の事を作文に書いた。鉄砲撃ちは近所のお兄さんで空気銃を持っており
電線にとまっているスズメなどを打ち落としていた。作文では自分が騒いでそのスズメを逃が
してやったことにした。この作文の事を覚えているのは事実と異なる最初のフィクションであ
り、ちょっと気になる事でもあったからである。作り事を書いてしまったからである。しかし、こ
の作り事がなければ、平凡なつまらない作文で終わったかも知れない。小学1~2年生頃の
記憶である。こういう、作り事を書いてしまったことを覚えているのは、嘘をいうと閻魔様にべ
ろを抜かれるよと教えられており、うらめしい気持ちがあったからだろう。今思うと、嘘と言う
より、最初のフィクションと言ってよいのかも知れない。郷土史の研究家に、あることの歴史
はその中心より、その周辺により正確に残っている場合が多いと聞いた事がある。偏りとい
うのは必ずつきまとうものなのであろう。100%正しいことはないかもしれないが、数%正しい
ことでも歴史を知ろうとする時は大切だ。その数%が次の行動の手がかりになる。