匠の時代

2009/4/25

匠の時代

内橋克人氏の作品であり、高度成長期の技術者の一人として読んで感銘を受けた。匠とは

所詮職人のことではあるが、その職人技に光を当て技術の人間的な側面を紹介してくれたこ

とが感銘の主因であったと思う。技術者は大抵裏方、黒子に徹しているものだ。自分の手で

物事を作り上げることは大きな喜びに通じる。卒業研究の時、隣の研究室では半導体デバイ

スの研究を始めた。研究室も創設期であり、拡散装置も無い。そこで、実習として電気炉の

設計と製作をして、その装置を手作りで稼働させてついにPN接合が出来たのを大喜びした

姿を見て職人というか手作りの大切さを見た思いがした。かの青色発光ダイオードを作り出

した技術者も同じ様な喜びを感じていただろうと思う。これを会社の中でやりぬくのは大変

だ。結局、大量生産される製品も、最初の一点は手作りであり、それを動かして実物を見せ

るのが職人という事なのだろう。ともかく成功と失敗の話は種が尽きない。この本を職場の新

人に推薦したいと思ったことがあるが、ついにかなわなかった。技術者も夢ばかりは追

えない時代になっていたのであろう。