2009/4/27
黒松の羅漢さま
畑の隅や道路脇に黒松が植えられている。四半世紀前に父が赤城山方面から貰ってきた膝
下位の苗が知らないうちに大きくなってしまった。何本もあるので本気に手入れをすると五月
の連休にかかりきりになっても終わらない。脚立の上り下りも大変になった。いっそう根本か
ら切ってしまおうかと思うことも度々ある。しかし、それに逆らう感情も残る。ついに上部を切
りつめて自分の背の高さ程度にして上に伸びるのを押さえた。切り口が目立たないようにそ
の部分は枝葉で隠すようにしている。かつらのような工夫だ。日本的な植木の固定イメージ
からすると衆人の評価はさんざんではある。しかし、自分ではこれを羅漢様を見るような気持
ちで仕立てている。よく見れば一本一本個性があり、首を落とされてもそれにめげずに修業
に励んでいるようでもある。自分と黒松の我慢比べ。生きている居場所さえ有れば良いでは
ないか。だが、手を抜くとかつらはぼうぼうになる。植物の生命力は強い。あるとき近所の人
からあんたの父親から松の接ぎ木を教えてもらったという話を聞いた。垂れ枝の松が接いで
あるというのであった。確かに垂れ下がっている枝もある。この枝が羅漢さんの腕になるか
は分からない。