2009/6/16
幻の果実
幼少の時、小さいが甘くこりこりしたような果物らしいものを食べた記憶がある。珍しい食べ
物で何回も食べた物ではない。当然地元で沢山採れる物でもない。これが、何であったの
か、誰がくれたのかも分からない。思い出そうと試みるがその手がかりが無い。しかし、記憶
の最下層にたしかに何かが残っている。中国の残留日本人孤児も親を訪ねてもかすかな記
憶の中にしかないことを思い出そうとするとしたら更に大変な事であろう。ある日、園芸品の
カタログを漠然とみていたら、ひょっとしたらこれがその幻の果実ではないかというものに出
会った。ケンポナシとい名前であった。インターネットで調べると自分の記憶と重なる部分が
ある。これがそうであったのかと確認するには手にとって食べてみる以外にない。しかし、食
べてみたとしてもどんな価値があるのか分からない。こういうものも食べたんだと確認するた
めにだけでも食べたい気もするのだが。