都市の論理

2009/6/27

都市の論理

羽仁五郎の著作である。同氏が桐生生まれであるという事で興味をもって読んだ記憶があ

る。同時に都市の空気は自由にする(ドイツ語: Stadtluft macht frei)ということわざも思い出

した。当時のベストセラーでもあった。都市を人間の思想という観点から考察した本であった

と思う。確かに鄙から都市に出た人間は開放感を味わう。人を引きつける魅力や仕事の機

会もある。なんとか食ってゆける場所でもある。人が集まって都市が生まれる。そこに独特な

人間社会も生まれる。人と一緒に物や金や知識・情報も集まる。それが巨大なミキサーであ

る都市として現れる。当時はヨーロッパの都市が輝いて見えた。しかし、日本の江戸という都

市も捨てた物では無いと今となって感じる。現在の東京はどうか。それは制御を失った巨大

なマシーンの様でもある。知事がいようがいまいが日々変貌してゆく。その行き先はどこなの

か羽仁五郎氏に聞いてみたい思いがする。確かに地方のねばねばとした関係から都市のさ

らさらした関係の中に身を沈めることにより何か新しいものを感じるかもしれない。しかし、そ

の日の食料さえ自給できない都市は巨大なブラックホールでもあるようだ。生産と消費、分業

と流通、サービスの体系等の社会システムが都市の基盤を支えている。結局都市と地方は

不即不離の関係でしか無いのではないか。都市と地方のアンバランスは思想では解決出来

ない問題ではあるようだ。