2009/8/17
盆棚
お盆という国民的な風習についても詳しいことは余り知らない。祖霊を祭る行事には違いな
い。仏壇から位牌を出して盆棚に並べる。霊は寺に迎えに行く。幼少時にはお盆迎えの仕事
をした。今は息子の役目である。盆棚を作るのは父の役割であった。それを今自分がやって
いる。父は養蚕の桑くれ台に、半畳の戸板を乗せ、その上にござをしいて盆棚とした。新盆
の時は新霊と旧霊のために別々の盆棚を作るとの事で大工さんに組立式の盆棚を作っても
らった。この棚の上部をチガヤの縄で囲む。時にはこの縄に赤いホオズキ等をつるした事が
あった。四隅には青竹を立てた。一つ一つ何らかの意味があるのだろう。お盆に帰るとされ
る祖霊の居場所を決めるのが盆棚のようだ。その居場所を少しきれいにしてやろうとホオズ
キや萩の花等を飾る。ともかく、伝統的な事は可能な限り残そうとチガヤの縄はまだ自分で
なっている。田んぼの畦にチガヤが残っている部分がある。お盆の数日前にその部分の草
刈りをして適量のチガヤを持ち帰る。少し乾燥した所で縄になう。結構手間がかかるが一種
の修行のようでもある。最近、近所の長老と立ち話をした時、仏事や神事の時の縄のないか
たは逆方向にするのだと聞いた。振り返ってみると、葬儀や祭儀に使う物も身辺にあるもの
を使っていたようだ。それらの小物さえ入手が困難になりつつある。また、それらの細工の仕
方もおぼろげになっている。生きている人間の気持ちが表せれば何でも結構ではないかとも
思う。