味見
料理の味付けでうまさが変わるのは事実である。しかし、味は料理だけに役立つわけでも無
いだろう。料理は生物的な生存という観点からは餌が非常に恵まれた条件にある時にしか
成立しない。生物的な味の感覚が味覚ということになるだろう。狩猟や採取という原始的な食
餌状況では味は素材に主に含まれて、味を加工することは少なかったかもしれない。味覚は
舌にある味覚細胞というセンサーを使って検知される。その基本的な役割は、物が食べられ
るか食べられないかの判定にあるようだ。食品・食材は食べられることが前提で、通常我々
は食品・食材を食べているという事は、食べられないものかという判断はほとんど行っていな
い事になるのであろう。子供の頃は、色々な物を口に入れた。これは食べられないと感じると
直ぐ吐き出した。甘いと思ってかぶりついた柿が渋いとき等はその例である。逆に栗の実等
は指の爪で渋皮を削って多少渋くても生でかりかり食べた事を思い出す。甘味、酸味、塩
味、苦味、うま味の5つが味覚細胞により感知される基本味だそうだ。辛み、渋みの検知は
別種の感覚だそうだ。ともかく舌はいろいろなセンサーを兼ねている。電池の電極に指をあ
てて他の電極を舐めると独特な味のような感じを受ける。味も電気・化学的な現象をセンサ
ーで検出しているので味付けという点ではまだ色々な可能性があるのかもしれない。ゴーヤ
の苦み等は最近一般化した味覚であろう。甘味、酸味、塩味は基本調味料が昔からあった。
うま味の調味料は化学調味料として実現している。苦みについては基本調味料として単品で
売られて商品は見たことがない。食品添加物として間接的に食べているようだ。苦みについ
ては目薬が喉に降りてきて気になっている。苦みは甘みの対極にあるのであろう。しかし、苦
みの無い世界は味気無い世界になってしまいそうだ。ブレーキの無い車のようだ。酸味、苦
味、渋味をじっくり味わってみたい。