2009/10/20
TEG(テグ)
test element groupをテグと呼ぶ。半導体素子の実験・評価用に設計された素子・グループ
の事である。現場では単にテグと呼んでいたので正式な原語を知っていた人も少なかったよ
うだ。回路記号で書かれた素子は単純であり、記号だけではその素子の特性が表せない。
素子の特性は形状依存性を持つ。集積回路は一般に微細化により集積度を向上させる事
で、機能、性能、コスト等の向上が可能になる。しかし、微細化は無制限に可能ではない。製
造技術等により微細化の限界が常に存在する。アナログ用の素子は更に種々の形状依存
性が現れる。例えば、光センサーではセンサー面積を広くすれば感度と性能は向上するがコ
ストが上昇する。トレードオフによりコストと性能をバランスさせる必要がある。従って、設計
上は素子形状の最適化が必要になる。そんな場合にTEGが登場する。形状を変えたり、形
状は一定だが面積比を変えたりして最適な素子を決定する。TEGのG:GROUPはそのよう
なある目的を持って作成された素子グループを表す訳である。自分も磁気センサー用のホー
ルICを開発する時に、ホール素子のTEGを作成して頂いた事がある。その他のトランジスタ
等は別の汎用TEGを使用して、実際に動作するブレッドボードを作成した。当時はCADの実
用化も始まっていた。しかし、ホール素子のSPICEモデルは無かった。ホール素子のTEGの
特性をシミュレーションするSPICEモデルを自前で作成して何とか回路全体のシミュレーショ
ンが出来た。かくして、開発されたホールICは幸いにも長期の製品寿命を経てから生産終了
になった。