2010/1/8
マネージメントゲーム
会社生活で何か役が付きそうになった頃に行われた研修にマネージメントゲームというのが
あった。平社員の場合は自分の仕事をつつがなくこなす事が第一優先である。しかし、何か
の役職に就くと、人、物、金、組織等の全体的な活用が課せられることになる。それを一種の
製造業のシュミレーションのようなゲームに仕立てて経営管理のトレーニングをさせたのがマ
ネージメントゲームであったと思う。ゲームのメンバーは数人で、各人が経営者になり、市場
から資材を購入して、生産した物を市場で売る。市場や各経営者の動きを観察して自分の
手を決める。利益の高い順位でゲームの勝者が決まる。ゲームの成績はいつも下位であっ
たが、市場経済を理解する手頃なゲームではあったと思う。作れば売れるという経済の高度
成長期にはふさわしいゲームであったかもしれない。しかし、会社組織が余りにも大きくなり
すぎると、組織と意志決定が細かく分断されて人・物・金が勝手に動き出し統制がとれなくな
る。高度成長期に水膨れした体質を強化するという目的で選択と集中とか本業への復帰等
が叫ばれたがそれは一面現実のマネージメントの対応の遅れを示していたのではないかと
思われる。残念ながらマネージメントゲームには物はあったが、人(サービス業)、金(金融
業)、組織(事業創出)という要素が欠けていたようだ。体力のあった企業は一斉に本業以外
の未経験な事業に進出しようと試みた。退職する頃は経営においてリスクマネージメントとい
う言葉がますます真実味を帯びる経済状況となった。しかし、どうもリスクマネージメントゲー
ムは経営にはなじまないようだ。リスクは例外で非定常な事が多い。従ってリスクは本業の
中のコストの一部に過ぎないという考えも成り立つかもしれない。おりこみ済みのリスクの類
である。まさかの、想定外のリスクもある。ゲームは仮想だが、リスクは仮想ではなく現実だ
というのが実状かもしれない。双六遊びでも何歩か下がるという場所があった。それがリスク
なら、その場所に当たらないようにサイコロを振ったことがあったろうか。どうも上がる事に頭
が一杯で、何が最高のサイコロの目の出方か考えるゆとりが無いのが人の常であるようだ。