だるま落とし

2010/1/29

だるま落とし

幼少の頃だるま落としという遊びをした記憶がある。木製の円盤を数段積み上げてその上に

円盤の数倍の高さのだるまを置いて、横から円盤を木の槌で叩いて飛び出させる。円盤が

崩れたりだるまが落ちたりしないようきれいに叩いた円盤をはじき出す遊びである。当然コツ

がある。高校では物理という学科があり、中学の理科より理論的になる。そこで運動量保存

の法則とか、ニュートンの運動の基本法則と言うのを習う。法則とは現象という樹木の姿から

枝葉を除いた幹のよううにも見える。ある条件が整えば例外なくあてはまる現象である。実は

ある条件が無数にあるので現象も無限に多くあるように見えてしまう。物理の授業の時、ある

学生が十円玉を二個机の上に取り出して並べ、おはじきのように一方の十円玉をはじいて

他方の十円玉に当てた。すると、当てられた十円玉が飛び出して、はじかれた十円玉は飛び

出した十円玉の所に止まっていた。これは、素晴らしい実験だと思った。それにも増して、こ

の実験がひらめいてすぐに試してみた同級生に感服したのであった。やはり、彼は物理が好

きであったのだろう。運動量の保存の法則を目で見える形で示してくれたのであった。なにげ

なく遊ぶ遊びのなかにも力学の法則が潜んでいる。小さな実験でそれを確かめる。遊びも小

さな実験も同じ様なことに見えるが本質的な違いがある。現象や遊びでも抽象的な法則とい

う概念を把握すればその法則を逆にいろいろな現象に適用できるようになるのだ。霧箱の中

に描かれた衝突した素粒子の軌跡からその素粒子の性質をつきとめることができるという事

もこの法則性を理解できて初めて納得できるのである。