桑園:いとしきもの:昭和万葉集:身辺雑記:田舎老人徒然草:老人の寝言:嘘ニュース作って苦笑四月馬鹿。100402。

2010/4/2

昭和万葉集:身辺雑記:田舎老人徒然草:老人の寝言:嘘ニュース作って苦笑四月馬鹿

昨日は四月馬鹿であったが、余り話題がない。お茶友がいた。それならばと、その場で重大ニュースを作って皆で発表し合った。あの人が本当の事を語りました。この嘘ニュースは受けなかった。古狸に女がいました。この嘘ニュースはやや受け。ある人が化かしたのは女かいと突っ込みをいれて笑いを取った。お茶は終わっても、気持ちは最近の天気のように冷たくさえない。いとしきものというタイトルでブログを書いているが、古語辞典をたどると「厭う」という動詞にたどり着いた。いやだ、うとましいという心情を行動等に現わすことであろう。一面憂き世では子供・老人は厭うべき存在であった。しかし、その弱さに気付くと可哀相だという心情も生まれる。「いとほし」という、かわいそうだ、気の毒だ、ふびんだという関連語がある。言葉も時と共に移ろうようだ。きらきらと、明るく輝く言葉。「いとし」に「愛」を当てるのは最近のことなのか。「いとし」にも古い尻尾が付いていたようだ。ともかく、この世から姿をけしてゆくものには憐憫の情が湧いてくる。桑園もその一つであろう。

桑園

桑園に資本の威力おもはせてレイヨン大工場またたくまに建つ

昭和萬葉集3巻。華麗な都市文明 発展と変貌の区分にあった短歌である。

養蚕は農家の主要な収入源であった。しかし、絹が発展途上国から安価に輸入されるように

なり、採算は合わなくなった。絹がブラジルから入ってくるようになったほどだから、もう蚕もだ

めだなと父がつぶやいたのを忘れない。移民でブラジルに住んでいる友人が日本で自動車

関係の仕事についており、我が家を訪問した頃の記憶である。この自動車産業も栄枯盛衰

の流れにあるようにさえ思われてしまう。戦後、一時的に養蚕が好況の時があったがその後

は衰退の一途をたどった。既に産業遺産という段階になってしまった。今でも蚕屋があちこち

残っているが物置程度にしか使われていない場合が多いと思われる。しかし、既に昭和10年

代には化学繊維が大量生産され始めた事をこの歌は教えてくれる。荒れ野にレイヨン大工

場がたつのならまだしも、同じ繊維の絹を生産する原料を供給する桑園が取り崩されてゆく

光景に資本の威力以上の感慨も受けるのである。父は桑の木を掘り上げて、その後に花水

木を植えた。一時は公園や街路樹として、花水木の需要はあったが、今それを持て余してい

る。春になると遠くからもその花がみえる。せめてものなぐさめか。レイヨンは辞書に無かっ

た。レーヨンで引くと人造絹糸と出てきた。rayon。WIKIPEDIAによると「レーヨン (rayon) は

に似せて作った再生繊維であり、昔は人絹(じんけん、人造絹糸)、ステープル・ファイバーか

らスフとも呼ばれていた。レーヨンは光沢(仏:luster)と綿 (cotton) を組み合わせた言葉であ

る。(英語版:Rayon is a manufactured regenerated cellulose fiber. Because it is

produced from naturally occurring polymers, it is neither a truly synthetic fiber nor a natural

fiber; it is a semi-synthetic fiber.[1] Rayon is known by the names viscose rayon and art

silk in the textile industry. It usually has a high lustre quality giving it a bright sheen.)」

レーヨンの原材料の繊維自体は自然物であるようだ。それを化学工業的に繊維する。科学

の進歩と資本主義の利潤の追求という論理から当然の方向であったようだ。桑園を潰すのも

早いが、大工場もまたたくまに建つ。資本の威力にひれ伏す以外にない。それと共に、天然

繊維の絹は滅び、その代用となる人造絹糸が栄える。同じ様なパターンが幾つもある。

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追記(2018/08/09):タイトル変更。嘘ニュースの記事に引用する為。