2014年2月14日(金)
昨日は晴れ。最高気温(℃) 9.3 12:17。最低気温(℃) 1.3 05:20。ざっそう句:着膨れて 背中を丸め パソコンだ。宅内閑居。最近はパソコンに面倒をみてもらっているような状態。老人がパソコンをいじっているだけなら大して実害はないだろう。WEB情報によると、トヨタのプリウスに大量リコールがあったとの事だ。トヨタのリコールに関しては、数年前に、前米国で起きたトヨタ車の例を思い出した。丁度3年前に下記の記事を書いていた。
「技術断想:米運輸省によるトヨタ車急加速問題の調査結果(http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2011/02/post-28c0.html)。(2011/2/12)」
トヨタとしては、創業家の御曹司を経営トップに立てて、信頼性問題からの回復・立ち上がりに没頭し、ようやく経営に明るさが出てきたのがつい最近の事である。
日本経済新聞は、「経常最高益、7社に1社 製造業の収益力戻る ;http://www.nikkei.com/article/DGXNASGD0406O_U4A200C1MM8000/(2014/2/5 0:48 )」というタイトルで、「日本を代表する製造業の収益力が復活してきた。トヨタ自動車は4日、2014年3月期の連結営業および税引き前利益が過去最高になる見通しだと発表した。6年ぶりに最高益を更新する。日立製作所も23年ぶりに営業利益が最高になりそうだと発表。金融危機以降、各社が懸命に重ねてきた改革が実を結び、円安の追い風も受けて大きく利益を出せる体質に変わっている。製造業で今期に経常最高益を見込むのは7社に1社。株価は不安定な動きになっているものの、企業自身の稼ぐ力は着実に向上している。 」と報じた。
しかし、今回のトヨタのリコール発表が、「平成26年2月12日に下記内容のリコールを国土交通省へ届け出しました。」とあるのが、何となく不思議に感じた。トヨタが「平成26年3月期 第3四半期決算発表(平成26年2月4日)」を発表したのが「2014/02/04」である。この二件の企業活動を照合すると、リコール発表がある意図をもって行われているように感じるのだ。憶測だが、リコール発表のタイミングをうかがった結果ではないかと感じざるを得ない。
2014年2月13日の天気(AMEDAS)
TAVE= | 4.4 | NO DATA |
TMAX= | 8.7 | 最高気温(℃) 9.3 12:17 |
TMIN= | 1.5 | 最低気温(℃) 1.3 05:20 |
DIFF= | 7.2 | |
WMAX= | 6.2 | 最大瞬間風速(m/s)(風向(16方位)) 11.0(北西) 10:18 |
SUNS= | 9.4 | NO DATA |
RAIN= | 0 | NO DATA |
Q
Q
老人の寝言:ああ、文明の悲劇:人命優先というタテマエの企業優先はいつまで続くのか?
現役時代、自動車用の半導体開発に関係した事がある。今日の車には多数の半導体素子が使われている。その素子の品質は、一般民生用に比較すると格段高い信頼性が要求された。特に、走る、曲がる、止まるという走行系に使う半導体は自動車メーカーでないと容易に理解できない分野だった。民生用中心の半導体メーカーは、車載用電子機器に参入するだけでもてこずった。当時在職した該当する半導体部門でも車載メーカーへ参入する体制作りとしてQS9000という規格認証を受けた。その頃、トヨタの品質要求はQS9000より厳しいから、トヨタはQS9000を余り評価していないという話を品質部門の人から聞いた事がある。しかし、QS9000はISO9001に米国BIG3の自動車メーカーの要求を追加した規格であり、特に経営層を含んだ品質マネージメントや外部監査という点で優れた部分があったと思われる。
サイト内でキーワード「リコール」を検索(https://www.google.com/?hl=ja#hl=ja&q=%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%80%80site:http:%2F%2Faf06.kazelog.jp%2Fitoshikimono%2F)。
本日、トヨタのホームページを見ると、そのトップページ中央部の広範囲が真っ白に見えるようになっており、その下にカーソルを合わせるリンク(多分平常時の画面だろう)が現れるようになっていた。リコールページへのリンクは最上部に小さく正規に表示されていた。リコールページへの誘導を図ったのだろうか。それにしても、不親切でそっけないと感じた。完全に顧客を無視したり軽くあしらっているように見えてしまった。
トヨタホームページのリコールページには、「ご愛用の皆様には大変ご迷惑をおかけしましたことを心からお詫び申し上げます。 対象となるお客様には、お手数をおかけして誠に申し訳ございませんが、最寄りのトヨタ販売店へご来店日時をご相談いただき、修理をお受けいただきますよう、お願い申し上げます。」とあり、「プリウス(ZVW30)のリコールについて (2009年から2014年2月生産車の一部) 2月 12日届出 」と対象を指定している。更に次の深い階層に以下の記事があった。
サイトの詳細情報(http://toyota.jp/recall/2014/0212.html)は、以下の通り=「 1.不具合の状況:ハイブリッドシステムにおいて、制御ソフトが不適切なため、加速時などの高負荷走行時に、昇圧回路の素子に想定外の熱応力が加わることがあります。そのため、使用過程で当該素子が損傷し、警告灯が点灯して、フェールセーフのモータ走行となります。また、素子損傷時に電気ノイズが発生した場合、ハイブリッドシステムが停止し、走行不能となるおそれがあります。 」
このトヨタのリコールページもある意図をもって作成されているようだ。本気に知ろうとすると相当労力がかかる。できるだけ、詳細は知らせまいとしていると感じるのは下種の勘繰りか。
現役時代を振り返ると、今回のトヨタのリコールはまさに車の基本機能の「走る」に関係する欠陥のようだ。「不具合の状況」から推測すると熱設計ミスの可能性がある。発表の内容から「昇圧回路の素子」が損傷しなければ次の段階に進む事はないだろう。「昇圧回路の素子」の損傷を防ぐには加速時のストレスに耐える破壊定格に余裕がある素子を採用し、放熱設計を強化すればよいと思われる。その両方ともコストアップに繋がる。「制御ソフトが不適切なため」とは、素子を破壊限界近くまで酷使し、破壊をソフト制御で防止するのだろうか。設計の基本思想を知りたいものだ。
大きな問題は、対象車が「2009年から2014年2月」の5年もの長期期間に及ぶ事だ。この期間には、米国でトヨタ車の急加速問題も発生し、大問題になっていたと思う。トヨタ発表の発生する状況によれば、その原因は「加速時など」だから人的要因が多く、症状・クレームはランダムに発生したと推定される。設計思想と症状を照らし合わせると、技術者は不具合の原因にピント来る物を感じた可能性が大きいと思われる。従って、もっと早期にリコール対策がとられるべきではなかったか。確かに、経営的には存亡の危機にあり、非常に発表をためらう時期であった事は想像に難くないのは、門外漢にも明らかだ。それを逆説的に言えば、自社の顧客の人命以上に自社の利益を優先したという事にならないか。これは企業倫理・ひいては企業存亡に関わる重大な問題ではないか。あまつさえ、裁判事情が厳しい米国で従順な対応姿勢を示しながら、国内顧客・同胞を裏切っているようで日本の経営はここまで落ちぶれたかと憤慨せざるをえない思いである。
「法務(http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2010/02/post-cf89.html)。(2010/2/1)」。 「欠陥の妙薬はFMEA?(http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2009/07/fmeafailure-mod.html)。(2009/7/5)」 「自動車の規格QS9000(http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/2009/05/post-2df1.html)。(2009/5/4)」 「0019_「技術 回顧と展望」の目次(http://af06.kazelog.jp/itoshikimono/0019_G_KAIKO_TO_TENBOU_MOKUJI.html)。」 WIKIPEDIA「ISO 16949。(http://ja.wikipedia.org/wiki/ISO_16949)」
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